RPAは「ロボットなんだから、電源いれておけば24時間働くのが当たり前だろう」と思っていませんか?
残念ながらRPAは他のシステムに比べても止まりやすいシステムです。RPAが止まると日常業務にも支障が生じます。
なぜ止まってしまうのか?3つの理由を解説します。また、どのように対処すればよいのか考察します。
RPAが止まる3つの理由
1.ハードウェアが壊れる
RPAはハードウェアが壊れたらRPAも壊れてしまいます。
ハードウェアが壊れると止まるということは、どんなシステムについても言えることですが、RPAは非エンジニアの方がこの基本を知らずに運用しがちです。
プログラムのバックアップを取っていないのに、ハードウェアが壊れて、自動化がストップしてしまうことがあります。
自動化がストップしてしまうと、日常業務に支障をきたすこともありますので注意が必要です。
2.環境が変わる
RPAは、いろいろな変化で止まります。
- 環境の変化
- 対象システムの変化
- RPAツールのバージョンアップの影響
2-1.環境の変化
環境の変化とは「Windowsアップデートで微妙にOSの環境が変わった」といったソフトウェアの変化や、「ディスプレーを変更したといった」ハードウェアの変化があります。
下のマンガでも書いていますが、「人間の目にはほとんど同じに見える「OK」という文字が、ある日少し変わってしまったためにRPAが動かなくなった」ということもあります。
画像認識型のRPAの場合、ディスプレーを変更し画面の解像度が変わると、登録されている画像が認識できなくなるという欠点がありますので、注意しましょう。
2-2.対象システムの変化
多いのがこの「自動化対象のシステムの変化」です。
RPAは自動化対象がクラウドシステムであったり、社内の基幹システムであったりします。つまりRPA開発者の手が及ばないところがあるということです。
基幹システムであれば、まだ変更を通知してもらえるかもしれませんが、外部のクラウドシステムを自動化する場合は突然の変更は日常茶飯事です。
具体的にはECサイトの運営をRPAで自動化している場合、ある日突然ログイン方法が変わったり、今までなかったお知らせ画面がポップアップしたり、ということがあります。
これを予測することはできませんし、その画面が出てから始めて開発に着手できるようになりますので、常に改修は発生するものだという意識が必要です。
2-3.RPAツールのバージョンアップの影響
RPAツールは市場に出てから、まだ日が浅いものが多いです。そのため、バージョンアップが頻発するツールが多いと言えます。
ユーザーの要望に応えてバージョンアップされるのはうれしいことですが、そのたびに今まで開発したプログラムが正しく動作するかどうかのテストをやりなおさなければなりません。
RPAの目的は「日常の業務が正しく遂行されること」にあるので、今日バージョンアップしたら明日の自動運用が回るのかどうかを今日中にテストしておかないといけないのです。
実際にRPAツールがバージョンアップされたら、ある関数の仕様が変更になっていて、すべてのロボットを見直して修正しなければならなかったことがあります。
もし何百台ものロボットを開発・運用していたら、とんでもないことになっていたでしょう。
休日も自動稼働させているロボットがある場合は、週末にバージョンアップをかけるのは危険です。
3.論理的なエラー
機械的に壊れなくても、論理的なエラーで止まることがよくあります。
例えば「売上金額の入る項目に、日付を入れてしまった」など、本当はあり得ないデータをロボットに渡してしまい、対応できずに止まってしまうパターンです。
なぜRPAは論理的エラーが発生しやすいのかを解説します。
- 現場の業務社員が絡むことが多い
- RPAは別のシステムと連結することが多い
- 全部のパターンに対応すると開発工数が膨れる
3-1.現場の業務社員が絡むことが多い
RPAは現場の改善の為に使われます。そのため、必然的に現場の業務社員と絡む案件が多くなります。
例えば、店舗一覧表はRPAを使わない業務社員が行い、そのあとをRPAが自動化し店舗毎の売上集計を行う、といったケースです。
店舗一覧表をエクセルで修正した時に、いろいろな不具合が想定されます。
- 改行コードをいれてしまう
- 店舗のオープン日に「未定」などと文字をいれてしまう
- 勝手に列を追加してしまう
このような店舗一覧表を受けたRPAはエラーを起こして止まってしまいます。
3-2.RPAは別のシステムと連結することが多い
上記「環境が変わる」でも触れましたが、RPAは基本的にコントロールできない別のシステムとの連携を行います。
いつもクラウドシステムからダウンロードしているCSVに新たな列が突然追加されているようなケースもあります。
これを予期することは不可能です。
3-3.全部のパターンに対応すると開発工数が膨れる
システム開発では、予期しない変更に対応するため様々な予防措置を取るものです。
しかし、RPAの売りは「簡単に誰でも自動化できる」というものです。
なるべく止まらないように、多くのパターンを想定して対応した場合、例外処理に手間がかかり開発工数が膨れます。これはRPAの長所を消してしまうため理解が得られにくいものです。
適度に例外処理を入れて、あとは例外が発生してから運用でカバーするというのが今のところ求められる解です。
まとめ
RPAが止まってしまう理由をまとめると次の3つです。
- ハードウェアが壊れる
- 環境が変わる
- 論理的なエラー
ここからわかることは、「RPAは止まることが前提」と言ってもいいシステムだということです。
止まらないようにすることは事実上不可能でしょう。また、止まらないように開発すること自体がRPAの長所を打ち消すため求められません。
つまり、RPAを導入し運用していくには、以下の3つが大切です。
- なるべく止まらないよう開発する
- 止まっても大丈夫な体制を作る
- メンテナンスし続ける覚悟を持つ
「開発」と「運用によるカバー」を適度にコントロールしつつ、根気強くメンテナンスしてゆくという、今までにないスキルが必要となることが分かってきました。
それでも自動化は行う価値があり、これからも求められるものですので、頑張っていきましょう。
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