無料でRPAを作ることができるかどうか知りたい方へ。
RPAはまだ高いし、自社内で自動化できる業務は多くなさそうなので、費用対効果を得ることが難しそう。できれば無料でRPAを作りたいが方法が分からないと悩んでいませんか?
- 無料でRPAを作ることができるかどうかわかる
- 無料でRPAを作る方法についての情報がわかる
- IT歴20年。システム開発から企業内の業務改善まで幅広く経験してきました。
- 顧客企業において2016年からRPA内製化をサポートし実績を積み上げています。
- 2019年3月中小企業のための失敗しないRPA導入研修を行いました。
- 2019年5月リクルートスタッフィング登録者向けRPA超入門ハンズオンを行いました。
1.無料でRPAを作る方法とは【簡単に解説します】
1-1.RPAとは
まず、「RPAとは何か」を明らかにしておく必要があります。そうでないと「無料でRPAを作ることができるか」という問いに対し、正しく答えることはできません。
極端に言えばエクセルのマクロやVBSやJavaScriptなどのスクリプトでも、自動化に関するものはすべてRPAということになってしまいます。
RPAとはPC自動化の技術を使って、「業務効率化」を図る概念です。つまり、PC作業を自動化できただけではRPAとは呼べません。単純なPC作業は業務の一部でしかないからです。
具体的にどのような機能が必要なのかを解説していきます。
1-2.RPAに必要な機能
RPAに必要な機能は4つあると考えています。
- 人と同じPC操作を行うことができる
- 複雑な業務フローをビジュアルで記述できる
- 大量のデータを効率的に処理できる
- 1~3の機能の自動実行を管理することができる
1.人と同じPC操作を行うことができる
RPAはまず人がPC上で行う作業と同じことができることが基本です。通常これはRPAの機能とされますが、正確にはGUIコントロール機能と言い、昔から存在した機能です。
2.複雑な業務フローをビジュアルで記述できる
複雑な業務フローを記述できなければなりません。フローチャート形式で見えるビジュアルを持ったツールが望ましいでしょう。
3.データベースを使い大量のデータを効率的に処理できる
ホワイトカラーの業務というのは一つひとつの伝票を処理することよりも、数千数万件のデータをまとめて処理することの方が多いです。これら大量データの処理ができることがRPAの条件になってきます。
4.1~3の機能の自動実行を管理することができる
業務はINPUT→加工→OUTPUTの3工程で一つの塊を成しています。この工程の中に1~3の機能を使うことになりますが、その工程がうまく行っていることを確認できなければなりません。エラーが発生した場合は、直ちに担当者がエラーとその原因を把握でき、対応できることが望まれます。
加えて、スケジューリングされて自動的にこれらの処理が実行されなければ、毎回人の手により実行することになり、業務の効率化とは呼べません。
1-3.無料でRPAを作る方法とは【既存ツールを組み合わせればいい】
無料でRPAを作ることはできます。
ただし、私の知る限り1-2のすべての機能を持った無料のRPAツールはないと思います。有料のRPAツールの中でも多くはないでしょう。1~4の機能はそれぞれで発展したツールがありますので、それを統合して一つのツールにするのは効率がいいとは言えません。
例えば、データベースとRPAを合体させて、スケジューリングもできるようなツールを一から開発するのは無駄でしょう。
それより、既存のツールを組み合わせた方が効率的であるし、安く済みます。
そう考えるとすでにあるツールを組み合わせて1-2の機能を満たせるかどうか考えればよいのです。一つひとつの機能に相当する無料ツールを探していけば、無料のRPAを作ることができます。
2.無料でRPAを作る方法についての追加情報
2-1.無料でRPAを作る具体的な方法【OSSを組み合わせる】
RPAに必要な機能は4つあると指摘しました。
- 人と同じPC操作を行うことができる
- 複雑な業務フローをビジュアルで記述できる
- 大量のデータを効率的に処理できる
- 1~3の機能の自動実行を管理することができる
これを実現するためのOSSを探していきましょう。
1.人と同じPC操作を行うことができる
→SikuliX。OSSの画像認識型GUIコントロールツール。画像で対象を探し、マウス操作、キーボード操作を行うことができる。
2.複雑な業務フローをビジュアルで記述できる
→Pentaho。OSSのETLツール。ビジュアルで業務手順に沿ったデータ操作が記述できる。データベースとの連携も容易である。
3.大量のデータを効率的に処理できる
→MySQL。OSSのデータベース。小規模なデータを扱う場合は使わなくてもOK。帳票を作成する場合は既存のExcelを使うなどの工夫をする。
4.1~3の機能の自動実行を管理することができる
→Hinemos。OSSの運用管理ツール。ジョブのスケジューリング実行やサーバー監視など統合的な運用管理ができる優れた無料ツール。
この4つのOSSを組み合わせて運用することができれば、無料のRPAは完成します。
2-2.無料でRPAを作る条件【技術者】
無料でRPAを作るには技術者が必要です。
2-1を読んでいただければわかる通り、非エンジニアには開発することは困難です。ただし、どのツール・技術も昔からあるもので、決して高度な知識を要するものではありません。
そのため、ある程度経験のある幅広い知識を持った技術者が良いでしょう。40代以上の技術者のイメージです。
Windows98の頃から何とかツールやバッチを組み合わせて開発してきた、というような経験が生きてくる分野だと考えます。
近年、若い技術者はWeb系の技術職を求めることが多く、企業向けのアプリケーション開発者は少なくなっていると聞きます。ちょうど、余ってくるベテラン層をアサインすることができます。
2-3.無料でRPAを作るメリット・デメリット
メリットは、まず無料であるということです。
自動化の規模が大きくならない企業だと有料のRPAのライセンス費用を上回るだけの改善効果を生み出すことは困難ですし、最初の段階で費用が高すぎて、経営陣に稟議を通してもらえないこともあります。
そのようなとき、無料で始められれば稟議を通さなくても小さく始めることができます。小さく始めて効果が出てくる状態になり、有償RPAツールでどうしても使いたい機能が見えてきたら、改めて有料のツールに置き換えていけばいいのです。
デメリットは、ヘルプやサポートがほとんどないことです。「メーカーに問い合わせる」という対応もできませんし、もちろん無料研修もありません。自分で調べ、自分で試行錯誤しながら作っていく必要があります。
OSSは日本語のヘルプや扱っているサイトが少ないことが多く、英語のヘルプを読んで解決しなければならない場面もあります。
もう一つのデメリットは大規模な自動化には向かないということです。大規模に自動化するならば、大きなサーバーを用意して、プログラムや運用状況をすべて一括管理できる仕組みが必要となります。
ただし、無料のRPAを作るという前提の話が「RPAはまだ高いし、自社内で自動化できる業務は多くなさそうなので、費用対効果を得ることが難しそう」ということですから、これはデメリットと言えないかもしれません。
まとめ
この記事では、まず「RPAの定義」そして「RPAの機能」について解説しました。
そして、このRPAの機能を満たす無料RPAは複数のOSSを組み合わせで実現可能であることを明らかにしました。
デメリットはヘルプの少なさです。そしてある程度の技術力が必要なこともデメリットの一つと言えるかもしれません。
しかし、そのデメリットを克服できるのであれば、「無料でRPAを使い放題」という大きなメリットを得ることができます。ぜひ、挑戦してほしいと願っています。
私の著書では2-1.無料でRPAを作る方法【OSSを組み合わせる】で解説している内容について詳しく載せています。
ソフトウェアのインストール方法から業務利用の実例までサンプル付きで解説していますので、「ヘルプが少ない」という無料RPAの悩みを解決することができるのではないかと考えます。ぜひご一読下さい。
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