RPA運用の課題
RPAは安価で容易に自動化の効果を得ることができます。しかし、管理するライセンス数、実行シナリオが増えてくると管理が煩雑になって、運用が難しくなってきます。
RPA運用の課題を解決するSynus
Synusは弊社が独自に開発したマルチRPAを一元的に管理するRPA運用支援ツールです。インストールするだけで、実行しているシナリオのログ情報を自動的に取得して、自動で分析します。
これにより、RPAの運用工数が減り、費用対効果がアップするというメリットがあります。
Synusの全体概要図
管理するRPAシナリオ実行端末(「マシン」と呼びます)にSynusRoboをインストールし、SynusManagerで一元管理します。
Synusの管理者、シナリオの運用者といった権限を分けたユーザー管理が可能です。また運用者Aは営業部スコープ、運用者Bは経理部スコープのように管理するスコープを分割できるので、チームで運用が可能です。
対象となるお客様
- RPAツール(※1)を導入している
- RPAロボ管理ツール(※2)は導入していない
- RPAというよりRDAとして利用している(RPAとRDAの違い)
- RPAの開発ライセンスと実行ライセンスを合わせて5つ程度の規模(ロボ管理ツールを導入すると費用対効果が合わない)
- 複数のRRAが混在している(単一RPAでも、もちろん大丈夫)
- 専用の実行端末でRRAを運用している(実行環境について)
- 私の著書を読んでくださっている(※3)
※1) | UiPathまたはWinActorまたは無料のPower Automate for desktop。 |
※2) | 運用ツール:UiPathならOrchestrator、WinActorならWinDirectorやWinActor Management on Cloud。Power Automate for desktopなら有料のPower Automate。 |
※3) | 必須ではありませんが、私の設計から運用までの考え方をある程度知っておいていただけると、より理解し合えるという理由からです。 |
RPAとRDAの違い
RPAとRDAの違いについて、よく理解することで、Synusの目的がより深く理解できます(SynusはRDAに特化した管理ツールです)。
「RPA」は「企業」として大規模に業務の自動化に取り組むことを目的としています。サーバーやクラウドを中心とし、シナリオや実行ログの管理、スケジュール実行などの集中管理が可能です。高機能な分、開発難度は高めで費用も高額になりがちです。ただし、多くのシナリオを開発・管理する場合、RDAに比べて高額とは一概には言えません。
「RDA」は「個人」としてデスクトップ作業の自動化を行うことが目的です。各自のマシンにインストールして、開発・実行します。RPAに比べ開発は容易で、初期投資は安価です。ただし、インストール台数が増えると費用も比較して増えるので、小規模利用に向いていると言えます。
実際は「RPA」と「RDA」の垣根は曖昧で、運用管理ツールを契約することで、RDA型からRPA型に移行もできます。UiPathやWinActorなどもそのようなツールです。ですが、小規模に「RDA」として利用していた会社がRPA型に移行するには、費用的なハードルもあり、なかなか難しいのが実情ではないでしょうか。
「RPA」と「RDA」の差を図で表しています。「RPA」は初期費用が高いけれど運用が楽でコストがかからない場所にあります。「RDA」は「個人利用」の場合、初期費用も運用工数も低いのですが、3~5台規模になってくると、費用も上がり、運用工数が大きく跳ね上がる場所にプロットされます。
実行環境について
現在、下図のように複数台のシナリオ実行専用のマシンを用意しているお客様が対象です。もしくはこのような体制(ロボットの組織的・集中的な開発・運用を行う)を構築していきたいお客様が対象です。個人端末で有人型実行する場合は管理する必要性がほとんど無いので、対象外となります。
現在、シナリオを手動実行している場合でも、将来的にはスケジュール実行する環境を構築したいというお客様がメインです。シナリオをスケジュール実行する方法については、要望があれば、別途コンサルティングいたします。
RDA小規模運用の課題と解決策
大きく2つに分けて考察していきます。「運用工数の増大」と「費用対効果が不明」です。
それぞれの課題に対して解決策を解説しています。
課題1:運用工数の増大
課題1-1:シナリオのログ管理・分析が手間問題
RPAが問題なく動作するだけなら、ログの管理は必要ありませんが、そんなことはありません。必ずエラーが発生します。そのとき、運用者は「どんな内容のエラーなのか?」を調べなければなりません。
エラーが発生するたびに実行マシンにアクセスし、ローカルのログをテキストエディタで開き、エラー箇所を探すのには大きな工数とストレスがかかります。
実行マシンがリモート環境にある場合さらに手間がかかります。エラーが発生すると、ロボが開いて操作していたウィンドウが開いたまま停止しているかもしれません。この場合はウィンドウを適切に閉じてあげなければ、次のシナリオ実行に影響が出ます。そのためのデスクトップ状態の監視も必要な運用業務です。
また、管理者は過去のエラー内容を含め、一元的に管理し、把握したいはずです。開発者はログを見て、修正箇所を把握する場合が多いので、ログの取得が重要です。
シナリオが実行されると、ログを自動的に取得して分析します。シナリオログ分析画面にて、一元的に閲覧できます。1つのシナリオに対して1行のログ集計データ(開始日時、シナリオ名、エラー/正常、エラー時はエラー内容など)と、その明細データ(開始、アクション、終了などの詳細なログ)が表示されます。エラーのログは赤色のマークがつくので、一目でエラーを把握できます。
過去のログと見比べることで、今回のエラー発生の原因を素早く解析することも可能になります。
課題1-2:シナリオの配布が手間問題
開発マシンと実行マシンが分かれており、開発したシナリオを実行マシンに配布しなければなりません。「どのマシンにどのシナリオを配置しているのかが分からなくなる」「配布の工数がかかるし、面倒くさい」などの問題が発生します。
どのマシンにどのシナリオが配置されているのかを自動的に検出して、一覧表示します。UiPathの場合、実行マシンに配置されているシナリオのバージョンを把握できます。リモート先の実行マシンに開発マシン兼管理マシンから最新バージョンのシナリオを送り込むことができます。
シナリオがローカルの設定ファイルを参照している場合でも、設定ファイルを送り込むことで柔軟なロジック変更に対応できます。
課題2:費用対効果が不明
課題2-1:削減工数が把握できない問題
RPA管理ツールを導入していない場合、シナリオを作ったら、その実行結果を分析することは困難です。例えば、エラー率やシナリオ実施による削減工数の把握です。これでは、費用対効果を分析することもできません。また、問題を抱えたマシン、シナリオを把握し、手当てするということも人の感覚に頼るしかなくなってしまいます。
シナリオ毎のエラー率、削減工数、重要度などを設定、管理することができます。これを「健康指数」で把握可能です。実行マシン毎の「健康指数」も分かるので、どのマシンのどのシナリオを強化すべきかが分かります。
シナリオ毎に「手動実行時間(手動でこの業務を行った場合、何分かかるか?)」を設定できるので、実際のシナリオ実行時間と比較し、削減工数が算出できます。
課題2-2:ライセンスが最適化できない問題
管理者・開発者は、どの実行マシンに空き時間があるのかを把握する必要があります。実行マシンに空きがなく、次々にシナリオが実行されているのかもしれません。逆に、「実行時間が短すぎる」ということもあります。これは「ライセンス費用が無駄になっている」ということを示しています。運用者としては、「次のシナリオの実行時間は何時?」というときがあります。
マシン毎のシナリオ実行実績を時系列で把握できます。どのマシンにも空き時間が無い場合は、新しい実行マシンを手配しなければなりませんし、どれかの実行マシンに実行が偏っているだけなら、実行するシナリオを分散させることが必要です。「実行時間が短すぎる」場合はライセンスを減らして、費用を抑えることも費用対効果を高めるうえで重要です。
運用者が次のシナリオの実行時間を知りたい場合、日時、週次のシナリオ実行時間を振り返ることで把握できます。
[結論] RDAの開発しやすさ、費用感で、RPAのような運用管理ができ、運用工数が減り、費用対効果がアップする!
RDAの良さはそのままで、「運用工数がかかる」というデメリットを減らします。RPAにとって重要なことは「ロボを育てる」ということです。継続的にシナリオを改善し、実行エラーを減らして安定稼働させるための機能が充実しています。これらの効果により、RDAの費用対効果を上げることができます。
Synusの導入・運用費用を加えても、RDAの運用費が減り、費用対効果が上がることで十分に利益となるでしょう。
動作環境
◆SynusManager側のマシン
項 目 | 推奨スペック |
CPU | Core i3-6100 (2 コア 3.7GHz)以上のx86 またはx64 プロセッサ |
メモリ | 4.0GB 以上 |
HDD | 空き容量3.0GB 以上 |
画面 | FHD(1920×1080)が表示可能であるもの |
◆SynusRobo側のマシン
項 目 | 推奨スペック |
CPU | Core i3-6100 (2 コア 3.7GHz)以上のx86 またはx64 プロセッサ |
メモリ | 4.0GB 以上 |
HDD | 空き容量3.0GB 以上 |
画面 | 任意 |
◆ネットワーク環境
SynusサーバーとしてAzure上のクラウドサーバーを利用していますので、インターネットと接続できる環境での実行が必要です。セキュリティ確保のため、アクセスできるIPアドレスを制限します。
クラウドサーバーとのデータ授受のため、いくつかのポートを使用します。会社のセキュリティ上、制限されていることもありますので、導入前に確認が必要となる場合があります。
◆オンプレ対応について
Synusのサービスはクラウド上で動作してるため、機密データ等の流出の懸念からオンプレでの運用を希望されるお客様もいらっしゃるかと思います。また、費用面でもサブスク型ではなく、オンプレでの買取型を望まれるケースもあります。
現在、「RPAのログに機密情報が含まれることはないので、自社での環境構築の必要が無くて、すぐに使えるSynusのメリットが大きい」というお客様だけにサービスを提供しています。
オンプレを望まれるお客様には個別に対応致しますので、お問い合わせください。
導入までのステップ
お問い合わせをいただいてから、RPAツールの導入状況、自動化の進捗具体、今後の方向性などをお聞きし、最適な運用プランと費用をご提案します(RPAツールの運用状況や方針によっては、Synusが最適な解決策とはならない場合もあります)。
導入検討が決まりましたら、動作環境や利用方法を確認するために、2カ月の無償ライセンスを発行いたします。
動作やメリットに納得いただけたら本運用となります。
Synusの方針
Synusは、弊社でサポートしている「RPA開発・運用」の中でどうしても必要になった機能をサービスとしてまとめた形です。
「実行環境について」で説明しているような運用状況に限定したサービスなので、Synusが活躍できる環境は非常に限られています。
また、弊社もSynusの保守メンテとバージョンアップに力を注ぎたいので、多くのお客様にサービス提供するつもりはありません。最大10社と考えています。
- 継続的にRDA運用で実績を積み重ねたい
- 創意工夫を重ね、なるべく安価で自動化したい
- チャレンジできる環境にある
このようなお客様にサービスを提供させていただきたいと考えています。
お問い合わせ
以下のお問い合わせフォームにご入力いただくか、メールアドレス(info「at」marukentokyo.jp)までメールください。※「at」は@に置き換えてください。