こんにちは。完全自動化研究所の小佐井です。
「RPAの技術はある程度身に付けたが、業務の自動化ができない。」と悩んでいるRPA関係者は多いです。
原因は『業務分析』が不得意、ということがほとんどです。
この記事では、「業務分析の知識を得るために役に立った」と自信を持っておすすめできる書籍を3冊ご紹介します。
- IT歴20年。システム開発から企業内の業務改善まで幅広く経験してきました。
- 顧客企業において2016年からRPA内製化をサポートし実績を積み上げています。
- RPA関連の書籍を4冊出版しています。
目次
1. RPAに必要な業務分析とは?
業務分析とは、主に業務を可視化(図式化・見える化)する技術を指しています。可視化することで客観的に業務を把握することができます。
では、単純に図を描く技術を身に付ければいいのかというとそうではありません。可視化するためには業務を体系的に理解する必要があります。
その為の業務知識、分析手順、分析手法は、これまでの多くの事例をもとに体系化されていますので、専門の書籍を通じて学ぶことが一番の近道です。
2. 業務分析技術をすばやく身に付けるための3冊
1. ビジネスプロセスの教科書―アイデアを「実行力」に転換する方法
RPAの現場で必要な知識は「ビジネスモデル」よりも「ビジネスプロセス」です。そして、このビジネスプロセスの知識がない人が多いのが現状ですね。
経営層や営業の方は「ビジネスモデル」は大好きです。新しい商売やマーケティングをわいわいと議論します。ビジネスモデルやビジネスコンセプトの本も良く売れていますね。
一方、実務者は経営層が決めたビジネスモデルを実現するため日夜がんばります。
しかし、仕入先や得意先とのやり取りに必要な伝票の仕様、販売管理システムへのデータ入力のルール、などなどはほとんど決まっていません。このため、悪気は全く無くても結果的に属人化された業務がはびこり、ムダが多く、残業が増え、利益が上がりません。どこでもよく聞く話ですよね。
これは「ビジネスモデル」と「実務」の中間の「ビジネスプロセス」が構築されていないからです。
まず、「ビジネスプロセス」というものがあるのだ、ということを認識するだけでも、この本の価値があります。
ビジネスプロセスの教科書 山本政樹
2. 販売管理システムで学ぶモデリング講座
業務を「オペレーション(作業)」と捉えている人が大半ですが、業務は「データの流れ」と「データを加工するプロセス」で捉えるというのがITでの業務の捉え方です。
ITでの捉え方をすることで、はじめて業務を自動化したり、効率化したりすることが可能となるのです。
「販売管理システムで学ぶモデリング講座 」は販売管理システムを実際に設計できるレベルで解説している書籍です。
システム開発に興味が無くても、ITでの業務の捉え方が明確になりますし、「データ」で業務が成り立っていることがわかり、オペレーション派の方にはパラダイムシフトとなるでしょう。
業務分析の役に立つデータフロー図の描き方も、とても参考になります。
2008年発売ですがいまだに売れているようです。卸業の販売管理システムを題材としており、会計知識、業務知識、データベース設計を連携させて学べます。
著者が開発したモデリングツールをダウンロードして使ってみることで、深く理解できます。
私も書籍を参考にし、当時勤めていた小売業の販売管理システムをモデリングしてみました。
実際にシステムを開発したわけではありませんが、業務の流れ、システム内の動き、会計との連動が詳細に理解することができるようになりました。
モデリングツールは今も利用させていただいています。
この著者の書籍は他にもありますが、どれも非常に勉強になります。
販売管理システムで学ぶモデリング口座 渡辺幸三
3. 業務改革、見える化のための業務フローの描き方
BPMN(Business Process Model and Notation)という業務フローの表記法の解説書です。
実際の業務を例に分かりやすく解説してありますので、すぐに使うことができます。
私の著書でも業務フローはBPMNで記述しています。また、この記述法をRPAシステムのフローにも応用しています。
ビジネスプロセスが分かり、業務フローが実際に描けるとPRAは確実にできるようになります。あとはただの開発技術の話になるからです。
もし、RPA技術があなたに足りないのなら技術者や外部業者にお願いすればいいのです。
業務改革、見える化のための業務フローの描き方
3. まとめ
仕事柄、いろいろな会社の現場を見てきましたが、どの現場も一言でいうと「混乱の極み」です。
ビジネスモデルが先行して、実務者のレベルではプロセスが決まっていないので、手探りで業務を行っているという状態です。
この状態を整理して、RPAツールで自動化を行うのは、そう簡単ではありません。
今回、ご紹介した書籍を読むことで、業務分析の全体像が理解できますし、具体的な可視化の技術も身に付きます。
業務分析できるようになり、ひとつ上のRPA開発者となってください。