【会計・経理業務】銀行口座の入金チェックとデータ保存【Power Automate for desktop事例】

Power Automate for desktopを活用すれば、エビデンスのための銀行口座の入金データ保存のような日常業務も効率化できます。今回は、インターネットバンキングからダウンロードしたデータを、日付ごとのフォルダーに自動保存する仕様を含む事例をご紹介します。

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こさい
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(株)完全自動化研究所代表のこさいです。

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銀行口座の入金チェックとデータ保存

対象業務

  • インターネットバンキングから入金データをCSV形式でダウンロードする。
  • ダウンロードしたデータを共有フォルダーに保存する。
  • 共有フォルダーには、ダウンロード日(yyyyMMdd形式)の名前でフォルダーを作成し、その中にデータを格納する。
  • フォルダーが既に存在する場合は新たに作成せず、既存のフォルダーにデータを保存する。

課題

  • フォルダー名やファイル名を手動で設定する際、ミスが発生しやすい。
  • 毎日の反復作業が時間と労力を消費する。
  • 担当者が休みの場合、作業方法がわからない場合がある。

Power Automate for desktopによる解決策

Power Automate for desktopを使って、以下のような自動化フローを設計します。

フローの全体像

  1. 共有フォルダーにダウンロード日(yyyyMMdd形式)のフォルダーを作成する(存在しない場合のみ)。
  2. インターネットバンキングに自動ログインし、入金データをCSV形式でダウンロードする。
  3. フォルダー内にダウンロードしたCSVファイルを保存する。
  4. 完了メールを送信する。

具体的な手順

Step 1: フォルダーの作成
  • アクション:「フォルダーの作成」アクションを使用します。
  • 処理内容:システム日付を取得して、yyyyMMdd形式に変換。
    • 例:20241223(2024年12月23日)
    • 変数DownloadDateを作成し、日付をこの形式で格納します。
    • フォルダーのパスを「共有フォルダーのパス + \DownloadDate」に設定します。
  • 条件分岐:フォルダーが既に存在するかを確認し、存在しない場合のみ作成を実行。
Step 2: インターネットバンキングからのデータダウンロード
  • アクション:「ブラウザー自動化」アクショングループ内のアクションでインターネットバンキングのログインページを適切なブラウザーで開きます。
  • 処理内容:ログイン後、入金データのダウンロードボタンをクリックしてCSVファイルを取得します。
  • ポイント:ダウンロードしたファイルの名前と保存場所を指定して、CSVファイルを保存します。ダイアログを表示せず保存するようにブラウザー設定している場合は、ダイアログ操作のフローを作成する必要がないため、フローが安定します。
Step 3: データの保存
  • アクションダイアログを表示せず保存するようにブラウザー設定している場合は既定のダウンロードフォルダーから「ファイルの移動」アクションを使用して、CSVファイルを移動します。
  • 処理内容:ダウンロードしたCSVファイルを、作成済みまたは既存のyyyyMMddフォルダーに移動します。
  • ポイント:ファイル名が重複しないよう、必要であればリネーム処理を追加します。
Step 4: 完了メールの送信
  • アクション:「メールの送信」アクションまたは「Outlookからのメールメッセージの送信」アクションを使用。
  • 処理内容:保存が完了したことを知らせるメールを担当者に送信します。メールには、保存先フォルダーのパスやファイル名を記載すると親切です。

導入の効果

  1. 業務時間の短縮
    手作業でのフォルダー作成やファイル整理が不要になり、日々の作業時間が大幅に削減されます。
  2. 正確性の向上
    フォルダー名やファイル名の人為的なミスがなくなり、データ管理が一貫します。
  3. 作業の標準化
    業務フローが統一されることで、誰が作業しても同じ結果が得られるようになります。1人の担当者に頼っていた作業が複数人でも同じようにできるようになります。

注意点

  1. エラー処理
    • フォルダー作成やファイル移動中にエラーが発生した場合のリカバリープランを設定してください。
  2. セキュリティ
    • ログイン情報やダウンロードファイルの取り扱いに注意し、セキュアな環境を確保します。

ポイント

銀行データの取得や管理では、インターネットバンキングを利用するケースがありますが、ファームバンキング(Firm Banking)を使用している企業も多数あります。

ファームバンキングとは、銀行が提供する専用のクライアントアプリケーションを使用して、銀行口座の取引データを管理する仕組みです。特にセキュリティを重視する企業や、インターネット接続を制限した環境で利用されることが多く、以下の特徴があります。

  • 専用ソフトウェアでの操作
    ブラウザではなく、銀行から提供された専用アプリケーションを利用します。
  • ネットワーク環境が限定される
    専用回線やVPN経由で接続し、安全性を確保します。
  • 取引データがローカルに保存される場合が多い
    ダウンロードしたデータは自動的に特定のフォルダーに保存されることが一般的です。

Power Automate for desktopでの対応

Power Automate for desktopは、ファームバンキングのようなローカルアプリケーションにも対応できます。具体的には以下の方法で操作を自動化します:

  1. UI要素の認識
    アプリケーションの画面要素を特定し、クリックや入力操作を自動化。
  2. ファイル操作の自動化
    ダウンロードされたデータを自動で整理し、共有フォルダーに移動。
  3. セキュリティの考慮
    ファームバンキング特有の認証手順(トークンや暗号化キー)をRPAで安全に処理。

ファームバンキング環境における注意点

銀行データの管理でファームバンキングを使用している場合、RPA導入にはいくつかの特殊なポイントや制約を考慮する必要があります。特に、ファームバンキング環境ではインターネット回線が制限されていることがあり、Power Automate for Desktopの動作に影響を与える可能性があります。

ファームバンキング環境の特徴と制約
  1. インターネット回線の制限
    ファームバンキングでは、セキュリティを高めるためにインターネット接続が厳しく制限されている場合があります。このような環境では、Power Automate for desktopが必要とするオンラインライセンス認証やクラウド接続機能が利用できない可能性があります。
  2. ローカル環境中心の運用
    ファームバンキングはローカルクライアントアプリケーションを使用するため、完全にオフライン環境で動作します。この場合、Power Automate for desktopでのフロー実行中に外部APIやクラウドサービスを使用する処理は実行できません。
  3. アクセス権限の制約
    専用のVPNやファイアウォールの設定が必要な場合、RPAがアプリケーションやネットワークリソースにアクセスできないケースも考えられます。
対策と運用上の工夫
  1. ローカルデータの利用
    ファームバンキングでは、取引データがローカルに保存されるケースが多いため、ファイル操作やアプリケーション内でのデータ抽出を中心にフローを構築します。これにより、インターネット接続が不要な業務フローが実現します。
  2. ライセンス認証の確認
    Power Automate for Desktopは、ライセンス認証にMicrosoftアカウントを使用します。ファームバンキング環境で利用する場合、認証時のみ一時的にインターネットに接続するか、必要に応じて管理者に設定を依頼することが必要です。
  3. 代替ソリューションの検討
    もしインターネット接続が完全に不可でPower Automate for desktopの利用が困難な場合、他のローカル環境に特化したRPAツールを検討するのも一つの選択肢です。

まとめ

今回の事例では、「日付別にデータを保存する」という仕組みを自動化することで、作業効率が大幅に向上します。Power Automate for desktopの活用により、業務フローの正確性と再現性が向上するため、他の会計業務にも応用が可能です。

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