
マーケティング部門では、さまざまなキャンペーンを成功させるために、適切なターゲットリストを作成する必要があります。このリスト作成業務は、多くの場合、CRMシステムからデータを抽出し、フィルタリングや整理を行うという一連の作業を含みます。しかし、CRMシステム側の情報だけでは不十分な場合もあり、さらに詳細な条件で絞り込む作業が必要です。本記事では、Power Automate for desktopを活用して、CRMデータと外部情報を紐づけた効率的なリスト作成方法を解説します。
業務の概要
「キャンペーン対象リストの作成」とは、具体的には以下の作業を指します:
- CRMシステムにログインし、RFMや会員ランクに基づいたデータを抽出する。
- 抽出データをExcelやCSV形式で保存する。
- 保存されたデータと購入商品カテゴリーなどの外部データを紐づける。
- 紐づけたデータをさらに条件でフィルタリングし、キャンペーンの対象を選別する。
- 選別したリストを最終的なキャンペーン用リストとして保存する。
たとえば、「30代の既婚男性で、過去6か月以内に特定の商品カテゴリーを購入した顧客」を対象にするキャンペーンでは、CRMデータと購入履歴データを統合して条件を絞り込みます。
業務の課題
この一連の作業には、以下の課題が存在します:
- 作業時間が長い:データ抽出や外部データとの紐づけ、フィルタリングを手動で行うと、特に大量のデータを扱う場合、数時間以上かかることもあります。
- 人的ミスのリスク:手動でデータ統合やフィルタリングを行うと、条件設定ミスやデータの整合性の問題が発生しやすくなります。
- データの複雑さ:複数のデータソースを統合する作業は複雑であり、高度なスキルが求められる場合があります。
Power Automate for desktopによる解決
Power Automate for desktopを使用することで、これらの課題を効果的に解決できます。以下にその具体的な手順を示します。
1. CRMデータの抽出を自動化
Power Automate for desktopの「レコーダー」を使えば、CRMシステムにログインしてデータを抽出するプロセスを自動化できます。たとえば、以下の操作を記録します:
- CRMのログイン画面でユーザー名とパスワードを入力する。
- RFMや会員ランクなどの条件でデータを検索する。
- 結果をExcelやCSV形式でエクスポートする。
2. 外部データとの紐づけを自動化
エクスポートしたCRMデータを購入商品カテゴリーなどの外部データと統合するプロセスも自動化できます。Power Automate for desktopの「Excel関連アクション」を活用し、以下の操作を実行します:
- 外部データを読み込み、CRMデータと共通のキー(例:顧客ID)で紐づける。
- 紐づけ後のデータを新しいシートやファイルに保存する。
3. フィルタリングと最終リストの作成
統合されたデータを基に、条件に応じたフィルタリングを行います。具体的には:
- フィルタリング条件を設定し、ターゲット顧客を抽出。
- 抽出結果を最終リストとして保存。
- 保存したリストを関係者と共有するための通知フローを作成。
自動化のメリット
Power Automate for desktopを使った自動化には、多くのメリットがあります。
- 作業時間の大幅短縮:手作業で数時間かかっていたプロセスが、数分で完了します。
- ミスの削減:一度正確に設定された自動化フローは、条件ミスやデータ整合性の問題を防ぎます。
- 複雑なデータ統合の簡略化:専門知識がなくても利用できる直感的な操作で、複数データソースを効率よく統合できます。
まとめ
「キャンペーン対象リストの作成」はマーケティング業務の重要な一環ですが、手動作業のままでは多くの課題を抱えがちです。Power Automate for desktopを活用することで、CRMデータと外部データの統合からフィルタリングまでのプロセスを効率化し、正確なリスト作成が実現します。
自動化を導入することで、マーケティング部門は単純作業から解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります。