在宅ワークのメリットとデメリット

僕は完全な在宅ワーク歴が4年になる。フリーランスとして独立して10年以上になって、その間半在宅だったので、「在宅ワークのプロ」というわけだ。この記事で在宅ワークのメリットとデメリットをまとめておく。在宅ワークに憧れているサラリーマンの方には少しは参考になるかもしれない。

ただし、会社に属したまま家で仕事をする「在宅勤務」のメリットとは、少しニュアンスが違ってくるかもしれないので注意してほしい。また、会社以外の場所で働く「テレワーク」や「リモートワーク」とも違う。本当に「家でだけ仕事をしている特殊なケース」ということを念頭に置いてお読みください。

まずメリットから言うと、1番は何といっても「会社に行かなくていい」ということ。これにより通勤時間が削れる。総務省統計局の社会生活基本調査によると、全国平均の通勤時間は片道39分、往復1時間19分ということだ。僕も子供が小さい頃、千葉の奥から横浜まで通っていた時期があった。片道2時間!

ここまで極端でなくても、片道1時間半はザラだろう。さらに髭をそったりスーツを着たり、多くの時間がかかる。こういうのも「通勤」に合算して、「1日に2時間を通勤のために使っている」と仮定すると、1カ月に40時間を『会社に行くため』に、使っていることなる。40時間と言えば、1週間の労働時間だ。時給5000円としたら20万円。もう少し時給が安い人で3000円としたら12万円。どちらにしろ大金である。その間1円も生産していないし、給料も1円ももらえない。本当に非効率的かつ非生産的だと思う。

「仕事の仕方が自由」というのも大きなメリットだ。会社なら、全員一斉に朝礼や終礼があったりする。昼食の時間も決まっている会社は多い。でも、仕事のペースなんかは、人それぞれ。昼食食べない方が調子が出る人もいるし、朝早くからバリバリ働きたいが、昼は寝たい人だっている。その人のペースで仕事をするのが、一番生産性が高いだろう(科学的根拠はない)。

「仕事の仕方が自由」とは、仕事を人に邪魔されないということでもある。会社で仕事していると、すぐ中断される。電話がかかってきたり、話しかけられたり、会議に呼ばれたり。もちろん、これらが大事なこともあるが、ほぼムダな時間じゃないだろうか。自分の仕事を進めるために他の人を会議に呼んで、その場で仕事をする人もいる。相談するふりをして仕事を押し付けてこようとする人もいる。とかく、人と働く場合はムダが多い。

さて、在宅ワークを望むサラリーマンの中には「住む場所が自由になる」というメリットを重要視している人もいるだろうが、それについては疑問がある。田舎の家賃の安い場所に住んで東京の仕事をすれば、高い報酬を得つつ低いコストで生活できる、ということだね。理屈は合ってる。でも、僕はコストの高い東京に住んでいる。別に住みたいから住んでいるだけだが、「自分だけ田舎に住んで、みんなが戦っている東京の仕事をとってくる」というのはセコい、という気持ちがどこかにある。理屈ではない。将来的にこういうセコい考えの人は仕事をなくすんじゃないかな。僕だったらこういう人に仕事をお願いしたくない。

「みんなが会社で戦っているのに、自分は家で仕事してるじゃないか。それと田舎に住んで東京の仕事をするのは同じだろ」という人がいるかもしれないが、それとこれとは違う。どう違うかを説明するのはメンドウだからしないが。

ともかく、少ない時間を効率的に仕事に充てられるのが在宅ワークのメリットというわけだ。さて、デメリットはなんだろう。

デメリットと聞いてみんなが最初に想像するのは「オン・オフの切り替えが難しい」ということじゃないかな。確かに「誰かに見張られていないと仕事しない」というタイプの人だと、在宅ワークはキビシイ。いくらでもさぼれるからね。でも、そもそもそういう人は、在宅ワークはやらないでしょ。最低限、見張られなくても自分で仕事をすることがこの記事の大前提だ。

同じく「いつまでも働いてしまう」という人もダメ。自己管理ができる、できないは、在宅ワークと関係なく普通に会社勤務でも同じこと。できる人はできる、できない人はできない。程度が低すぎて、議論の土台にのることはない。

デメリットを言うなら「仕事が不安定」ってことだ。やっぱり仕事というのは、人との関係性でとってくるものだから。当然、家にずっといるだけでは仕事は入ってこない。なんらかしら発信する、アピールする、ということが必要だ。仕事も過程を評価されることはない。結果がすべてになる。今月まで入っていた契約が突然なくなったことも何度もある。

会社勤務というのは、勤務態度、服装、言葉遣い、飲み会への参加、進捗報告なんかをしっかりしておけば結果はそこそこでも評価される。ゆるい会社だったら、極端に言えば「会社に行っておけば給料がもらえる」という状態だ。簡単にクビになることもない。こういうメリットがまったくゼロになってしまうのが在宅ワークだ。

まぁ在宅で独立して仕事するということは、そういうことだから「デメリット」と言ってしまうのはおかしなことだ。当たり前ってこと。仕事は自分で取ってこれるように努力して、取ってきた仕事は結果がすべて。そこに一切の言い訳はなし。マーケティングから営業、技術職、経理、すべて自分でやること。そのかわり、好きな時間に好きなように進められるし、仕事を選ぶことも、価値を決めることもできる。非常にわかりやすい危険な生き方が僕の言う「在宅ワーク」だ。それでも、まだやりたい人がいるのだろうか…。

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