企業における日常業務の中で、受注データを整理してシステムに転記する作業は頻繁に発生します。特に、ExcelやPDF、社内システムなど複数の形式でデータを扱う場合、手作業での処理が一般的です。しかし、これらの作業には手間と時間がかかる上、入力ミスもつきものです。本記事では、「受注データの整理と転記」という業務の流れを説明し、効率化のための方法を探っていきます。
この記事を書いた人
こさい
（株）完全自動化研究所代表のこさいです。
1) ITエンジニア歴25年超。RPA開発歴8年超。
2) RPA関連の書籍を6冊出版。
3)RPAトレーニング動画を販売しています。
4)RPAトレーニング研修を行っています
5)ご質問・お仕事のご依頼はこちら！
業務の概要
- 受注データの収集
顧客からの注文書やオンライン注文システムのデータを収集します。このデータはPDF、Excel、CSVなど、さまざまな形式で提供されることがあります。このように形式が統一されていないため、特定のフォーマットへの変換が必要になり、手作業ではエラーが発生しやすくなります。 - データの整理
受注情報を確認し、必要な項目（注文番号、顧客名、商品名、数量、金額など）を抽出します。不必要な情報を削除し、形式を統一します。 - データの転記
整理したデータを在庫管理システムやERPシステムに入力します。この際、システムの要件に合わせてフォーマットを調整する必要があります。
業務の課題
「受注データの整理と転記」には、以下のような課題があります。
- 手作業によるミス
膨大なデータ量を扱う中で、入力ミスが発生しやすいです。 - 時間の浪費
データの収集、整理、転記は非常に手間がかかり、他の重要な業務に割く時間が減少します。 - 形式の多様性による非効率
PDF、Excel、CSVなど複数の形式で提供されるデータを扱うため、統一する作業に時間がかかり、問題が発生しやすいです。また、これらの形式に対応するために、作業者は幅広いスキルを求められることが多く、教育に時間がかかることも課題の一つです。 - 単調作業によるモチベーション低下
繰り返し作業が続くことで、作業者の集中力が低下し、生産性が低下します。
Power Automate for desktopによる解決
RPAツールであるPower Automate for desktopを活用することで、上記の課題を解決できます。Power Automate for desktopはPDF、Excel、CSVなど、さまざまな形式のデータを自動的に扱うことができるため、形式の異なるデータが混在している場合でも確実に処理が可能です。以下は具体的な実装例です。
- データの自動収集
- 顧客からの注文書（PDFやExcel）を自動で開き、必要なデータを抽出します。
- オンライン注文システムからのCSVデータを自動的に取り込みます。
- データの整理
- フォーマットが異なるデータを統一するため、必要な列だけを抽出してまとめます。
- 重複データや不要な項目を削除します。
- データの転記
- 整理済みのデータを在庫管理システムやERPに自動で入力します。
- 必要に応じてデータ形式を変換（例：CSVからJSON）して、システムに適合させます。
自動化のメリット
- 作業時間の大幅削減
自動化により、作業時間を大幅に短縮できます。たとえば、通常数時間かかる作業を数分で完了できます。 - ミスの削減
手作業での入力ミスを防ぎ、データの精度を向上させます。 - 人員の有効活用
単調作業から解放され、作業者はより付加価値の高い業務に集中できます。 - 教育コストの削減
Power Automate for desktopを利用することで、さまざまなデータ形式に対応するための専門的なスキルを作業者に求める必要が減り、新人教育やスキル研修のコストを削減できます。
まとめ
「受注データの整理と転記」という業務は、多くの企業にとって日常的で重要なプロセスです。しかし、手作業では非効率的でミスが生じやすい課題があります。Power Automate for desktopを活用することで、これらの課題を解決し、効率的かつ正確に業務を遂行できます。
特に、昨今では海外で生産を行う企業が増えており、人員の確保や教育に苦労するケースが多く見られます。Power Automate for desktopは、こうした課題の解決に貢献する可能性があります。
