RPAによる自動化の類型

RPAによる自動化を7年以上は続けていると思う。そのなかで「RPAによる自動化のパターン」がわかってきたので簡単にまとめておこう。

まず、大きな分類として以下の2つがある。

  1. 個人のデスクトップ作業の自動化
  2. 部署または会社の業務の自動化

会社で仕事をしている限り、(1)の個人の作業も「会社の業務」であるから(2)との完璧な分類はできないが、(1)は自分で自動化して、自分で使うというスタンス。

(2)は「経理部として経理データをダウンロードして保管する」といったように、自分が必要というより部署の業務として必要であり、「自分は代表して自動化している」または「頼まれて開発している」というスタンスを指している。

僕の主観では、(1)の個人利用が8割くらいじゃないかなと感じる。2割は(2)で、こちらのスタンスの会社の方が僕のサポートを受けている。

この記事では(2)の「部署または会社の業務の自動化」について、パターンをまとめる。(1)については別途、記事を書こうと思います。

部署または会社の業務の自動化のパターン

自動化のパターンは大きく分類すると3つ。

  1. API連携の代わり
  2. アプリ機能の拡張
  3. 独自アプリ開発

(1)API連携の代わり

複数のシステム間のマスタ連携やデータ移行に使うパターン。APIが用意されていないシステムであったり、APIはあるけど技術力があるエンジニアがいなくて扱えないから、RPAを使ってつないでいる。

(2)アプリ機能の拡張

自社システムまたはクラウドシステムなどを使っているが、機能が満足できないからRPAで補完するパターン。本体のシステムを改修してもらえない、もしくはシステム改修費用が高くて稟議が下りない、という時が多い。また、単純に「操作を楽したい」「ミスを減らしたい」というのも、これに入る。

例えば、「定期的なパスワード変更を自動化する」とか「システムからは出ない独自の帳票を作成する」などがある。

(3)独自アプリ開発

これは(2)とかぶる部分があるが、単純なシステム拡張を超えている仕組みをRPAで開発するパターンだ。独自のロジックを組んでいることが特徴。

例えば、「基幹システムのデータは使うものの独自のロジックを組み込んだ発注システムを作る」「基幹システムのデータは使うものの独自の判定基準を組み込んだ納期管理システムを作る」といったもの。簡単なものだったら「プロモーション用のメールを一斉配信するアプリをRPAを利用して作る」というものも、この分類に入る。

3分類の内訳は?

3分類の内訳はどれくらいだろう?

もちろん、僕の経験でしか言えないが、以下の割合だ。

  1. API連携の代わり…2割
  2. アプリ機能の拡張…6割強
  3. 独自アプリ開発…1割強

(2)のアプリ機能の拡張は誰でも思いつくパターンだね。シンプルに言うと「帳票作成の自動化が多い」。営業日報とか月報とか、毎回作るのが面倒。誰が作っても同じ。数字を間違ったら大変。だから自動化しちゃいたい、というのは自然な話だ。

大事なのは(1)だと思う。RPAの本質はこれ。「RPAは画面操作の付いたETLツール」でも書いているけど、つなぎ業務を正確に、そして定期的に行うためにこそRPAは有用。本来API連携するべきだけど、技術力・コストの問題だったり、そもそも連携できない場合だったり、そういうことも多々あるから。それをRPAで解決できたら、ハッピーだよね。

このためには、やっぱり「完全自動化」しとかなきゃダメ。毎回、人の手で実行なんて、やってられない。普段、意識せずにシステム連携できてないとね。

でも完全自動化できるRPAのライセンスは高い!!大企業は年間数千万出しても痛くないが、普通の企業ではそうはいかない。

少ないライセンス費で上手いこと完全自動化するにはどうすればいいか?
そういう要望があるから、僕みたいなエンジニアが必要となってくるわけ。

(3)はちょっとイレギュラーだけど、.NETとかWebアプリなど本格的システム開発するほどじゃないから、RPAを開発ツールとして使おう!どうせ他のアプリとの連携もあるしな……というスタンスかな。

この3つの分類をちゃんと意識してRPA開発している人っていないと思う。少なくともこういう分類は見たことがない。

RPAを勢いで導入したものの「RPAって結局どうやって使うんだ?」「なんの効果があるんだ?」とわからなくなっているなら、この分類で今まで作った自動化を見直してみてみては?

そこから頭が整理されて、RPAの活用が進むかも!では。

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