情報システム部の仕事の中で一番多いのはなんでしょう?
僕もサラリーマンのとき情報システム部で働いていたし、何社か聞いたことがあるんですが…
たぶん「問い合わせ対応」じゃないかな、と思います。
情報システム部に限らず、例えば人事部とか経理部でも問い合わせ対応にかける時間はかなり大きいと思います。
これを少しでも削減できると、かなりいいですよね。
かといって、多大な工数をかけて開発するものかどうか?
これも疑問。
そもそも技術的に難しいし、いろいろな問い合わせパターンに対応する仕組みを構築するのも大変。
で、僕が考えたのがPower Automate for desktopとOpenAI APIを組み合わせて「IT助けて君」を作るって案。
もっと、わかりやすく言うと「PADで自社IT部門の代わりをするChatGPTをつくっちゃおう」ってことです。
IT助けて君1号の仕組み
仕組みはそんなに難しくありません。
まず、問い合わせ画面を作って、ユーザーからの問い合わせを受けます。こんな感じです。
「インターネットにつながりにくい状態が続いています。どうすればいいですか?」
そして、この問い合わせをOpenAI APIを使って、LLM(GPT-3.5-Turbo)に投げるわけです。
LLMには問い合わせの種類を分類してもらう。
ハードウェアトラブルなのか、ソフトウェアトラブルなのか、とか社内システムについてなのか、とか。
ハードウェアならパソコン系かな?ネットワーク系かな?
という所まで分類してもらいます。
その結果を返してもらって、あとは独自に作ったデータベースから対応を引っ張りだして
画面に表示してやればいいのです。
ピンポイントで不具合に対する答えを当てるのは難しいから、3つくらいパターンを出してあげるといいですね。
「インターネットにつながりにくい状態が続いています。どうすればいいですか?」の質問に対しては、「ネットワーク系の質問だな」とLLMが判定してくれたので、ネットワーク系の答えを3パターンで表示していますね。
この回答の原型もChatGPTに作ってもらいましたよ。
独自の回答を作りたいときは、自分たちでデータベースをメンテナンスすればいいんです。
こんなふうに「3パターンはいらない。会話ベースで回答してほしい」という場合は、そういう画面にすればいいですね。
解決した場合は[解決した]ボタンをクリックすれば、終了します。
そして、どれにも答えが当てはまらなかったら、[解決していない]をクリックしてもらいます。
そうすると、質問を続けるか、問い合わせメールするか、という選択が出ます。
問い合わせメールを選択すると、これまでの会話をメールで情報システム部宛に自動送信する仕組みにします。ユーザーの質問、GPTの回答(実際はデータベースからの回答)、追加の質問などです。
すでにワンクッション置いているので、何割かは問い合わせが減るでしょう。
精度を上げていけばいい
さらに、このような操作記録をデータベースに貯めておけば、あとで分析して、回答の精度を上げたり、質問が減るように社内のシステムを改善したり、ということも可能でしょう。
このIT助けて君が「本格的に使えるな」となったら、クラウドシステムで作るとか、フルスクラッチで開発してもいいでしょう。
そのときは、1ヵ月の使用回数から問い合わせ対応の時間削減がどれくらいできて、、とか費用対効果も算出できるようになっているでしょうから、いくら開発費をかけていいのかもわかるでしょう。
IT助けて君がそのまま使えるなら、もっとカスタマイズしてイイものにしてもいいですしね。
費用はどれくらい?
Power Automate for desktopは無償版では厳しいですね。
ソースが全部見れちゃいますから、APIキーも漏れちゃいます。
「Power Automate プレミアム」で今は1,875円/ユーザー/月です。
100ユーザーで20万円弱。
まぁこれでも1人の人件費よりずっと安い。
「IT助けて君」だけじゃなく「人事助けて君」「経理助けて君」とか作っていっても、価格は同じわけですから、安いでしょうね。
あと、APIの使用料金もかかりますね。
これは利用数によります。
本格的に使うなら、ちょっと計算しないといけませんが、100人未満程度ならそれほど高くはならないでしょう。
1000トークンあたり$0.002(1ドル145円とすると約0.29円。出力トークンの価格)なので。
生成AIを使うと何がうれしい?
最後に「いままでのチャットボットシステムと何が違うか」だけ考えましょう。
今までは、問い合わせの内容に含まれる文言から、プログラムでパターン分けをして回答を引っ張りだしていたと思います。
GPTを使うことで、より自然な言葉で問い合わせられるようになり、その言葉にたいして、より正確な答えを出せるようになる。
これが違うところであり、凄いところです。
もちろん、データベースにない普通の質問にも答えられます。「生成AIって何ですか?」とかにも普通に答えます。裏はGPTですからね。
特別に社内の情報を含んだ回答が必要だな、と判断したときだけデータベースを使うという賢さ、です。
音声認識と組み合わせれば、電話で問い合わせするようにIT助けて君が答えることもできるかもしれません。
まだ、ちょっと応答時間とかの面で完全ではないでしょうけど…。
そういう、将来を睨んだチャレンジをするというスタンスがちょうどいいかも、です。
POCって形ですかね。
お問い合わせください
問い合わせを減らすための仕組みの話をしていて変ですが、気になる方はお問い合わせください。
この「IT助けて君」、当社として「販売してる」というほどの完成度じゃないのですが、ベースがあるので、カスタマイズして面白いことができるかもしれません。
ちなみに今書いている本は、この原理を書いています(IT助けて君の作り方そのものは入れていません)ので、それを読んでご自分で開発するのもアリです。
「自分で一から作るのメンドウだわ」「すぐ試してみたい」「情報システム部として来期の活動のネタにしたい」などの場合は問い合わせください。では。
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