RPAの技術はある程度身に付けたが、業務の自動化ができない…。
と悩んでいるRPA担当者に向けて、僕がRPAの参考書として自信をもってすすめられる本をご紹介します。この記事ではいわゆる『RPAツールの技術本』は除外します。
主にRPAを設計・開発していく際の「業務分析」に役立つ本が中心です。
- ビジネスプロセスの教科書―アイデアを「実行力」に転換する方法
- 販売管理システムで学ぶモデリング講座
- 業務改革、見える化のための業務フローの描き方
- ITエンジニアのための【業務知識】がわかる本
- ITエンジニアのがときめく自動化の魔法
- システムを作らせる技術
- 実務者のための失敗しないRPAシナリオ設計入門
それではどうぞ!
RPA開発の参考になるおすすめ本5選
1.ビジネスプロセスの教科書―アイデアを「実行力」に転換する方法
アクセンチュアにてコンサルタントとして活躍し、フリーコンサルタントを経て(株)エル・ティー・エスに入社した山本 政樹さんという方が書かれています。
RPAの現場で必要な「ビジネスプロセス」についての本です。
RPAでは「ビジネスモデル」よりも「ビジネスプロセス」の知識が必要です。そして、このビジネスプロセスの知識がない人が多いと思います。
経営層や営業の方は「ビジネスモデル」は大好きです。新しい商売やマーケティングをわいわいと議論します。ビジネスモデルやビジネスコンセプトの本も良く売れていますね。
一方、実務者は経営層が決めたビジネスモデルを実現するため日夜がんばります。
しかし、仕入先や得意先とのやり取りに必要な伝票の仕様、販売管理システムへのデータ入力のルール、などなどはほとんど決まっていません。このため、悪気はまったくなくても結果的に属人化された業務がはびこり、ムダが多く、残業が増え、利益が上がりません。どこでもよく聞く話ですよね。
これは「ビジネスモデル」と「実務」の中間の「ビジネスプロセス」が構築されていないからです。
まず、「ビジネスプロセス」というものがあるのだ、ということを認識するだけでも、この本の価値があります。
アマゾンで購入>> ビジネスプロセスの教科書―アイデアを「実行力」に転換する方法
2.販売管理システムで学ぶモデリング講座
業務を「オペレーション(作業)」と捉えている人が大半ですが、業務は「データの流れ」と「データを加工するプロセス」で捉えるというのがITでの業務の捉え方です。
ITでの捉え方をすることで、はじめて業務を自動化したり、効率化したりすることが可能となるのです。
「販売管理システムで学ぶモデリング講座 」は販売管理システムを実際に設計できるレベルで解説している書籍です。
システム開発に興味が無くても、ITでの業務の捉え方が明確になりますし、「データ」で業務が成り立っていることがわかり、オペレーション派の方にはパラダイムシフトとなるでしょう。
業務分析の役に立つデータフロー図の描き方も、とても参考になります。
参照>> RPAの要件定義|データフロー図の書き方
2008年発売ですがいまだに売れているようです。卸業の販売管理システムを題材としており、会計知識、業務知識、データベース設計を連携させて学べます。
著者が開発したモデリングツールをダウンロードして使ってみることで、深く理解できます。
私も書籍を参考にし、当時勤めていた小売業の販売管理システムをモデリングしてみました。
実際にシステムを開発したわけではありませんが、業務の流れ、システム内の動き、会計との連動が詳細に理解することができるようになりました。
モデリングツールは今も利用させていただいています。
アマゾンで購入>> 販売管理システムで学ぶモデリング講座
この著者の書籍は他にもありますが、どれも非常に勉強になります。僕が愛読しているのは、あと2冊。
アマゾンで購入>> 業務別データベース設計のためのデータモデリング入門
アマゾンで購入>> 業務システムのための上流工程入門
業務システムを開発するわけではありませんが、業務システムの中身を理解することで、RPA開発の質は格段に向上します。おすすめです♪
3.業務改革、見える化のための業務フローの描き方
BPMN(Business Process Model and Notation)という業務フローの表記法の解説書です。
実際の業務を例に分かりやすく解説してありますので、すぐに使うことができます。
私の著書「オープンソースで作る!RPAシステム開発入門」の中でも業務フローはBPMNで記述しています。また、この記述法をRPAシステムのフローにも応用しています。万能ですね♪
ビジネスプロセスが分かり、業務フローが実際に描けるとPRAの開発能力が確実に向上します。あとはただの開発技術の話になるからです。
もし、RPA技術があなたに足りないのなら、エンジニアや外部業者にお願いすればいいのです。エンジニアリング以外の力がRPAには重要です。
アマゾンで購入>> 業務改革、見える化のための業務フローの描き方
4.ITエンジニアのための【業務知識】がわかる本
現在第5版ということで、人気とニーズの高さがわかりますね!
ITエンジニアなら、多くの人が読んで参考にしているのではないでしょうか、たぶん。
この本1冊で、幅広い業種の知識を得ることができます。たとえば、
- 財務会計
- 販売管理
- 生産管理
- 人事給与
などなど。
普通は、その業種を経験しないとわからないことが、たった2000円強で得られるわけですから、お得ですよね。
業務知識が付くと、
- ユーザーの話がわかるようになる
- そのため、ユーザーから信頼を得られるようになる
- 仕事がしやすくなる
わけです。
もちろん、業務知識がそのままRPAの開発に役立ちます。
全部を暗記する必要はありません。RPA案件が持ち上がったら、関係のある業務のページをじっくり読み込めばいいのです。
アマゾンで購入>> ITエンジニアのための【業務知識】がわかる本
5.ITエンジニアのがときめく自動化の魔法
面白そうな本でしょう? 面白いです。
「業務分析に役立つ」という本ではありませんが、「RPAのネタになる」「発想を広げる」ために使える本です。
「RPAツールから見て、できることを探す」のではなく、「したいことから、方法を探す」という切り口なので、一度、RPAの枠を取り払うことができますよ。
- 「新刊の発売」は「メールでの通知」で自動的に知る
- 「カスタムURLスキーム」で「プログラム」を起動する
- 「curlコマンド」で「短縮URLの本来のURL」を取得する
- シェルやコマンドにより自動化する
など、RPAのスキルアップに使えそうでしょ?
もちろん、自動化なので、
- 「Twitterからの情報収集」に「Microsoft Power Automate」を使う
- 「Yahoo!ニュース」を抽出し、「CSVファイルを作成」する ⇒ UiPathを使う
のように、RPAと関連するところもあります。
アマゾンで購入>> ITエンジニアのがときめく自動化の魔法
6.システムを作らせる技術
「システムを作る技術」じゃなくて「システムを作らせる技術について書かれた、唯一無二(たぶん)の本です。
「RPAを作る側」の立場だったとしても、「ユーザーに何をしてもらえば、スムーズにコミュニケーションが図れるのか」という切り口で読めます。
この本の内容を活かして、RPA成功のカギをまとめると下記の項目が抽出できます。
- ゴールを明確にしてもらう
- エンジニアに丸投げさせない
- 業務を改善してもらう
- 仕様を絞り込んで、明確にしてもらう
以上は、「ユーザー側」にやってもらうことです。
「RPAを作る側」は「ユーザー側」をある意味、教育して成功に近づける努力が必要です。
これは、「ユーザーが自らRPAを開発する」という場合でも同じ。
もっと、上記の内容を具体的に知識として落とし込みたいなら、この本を読むことをおすすめします。
アマゾンで購入>> システムを作らせる技術 エンジニアではないあなたへ
7.実務者のための失敗しないRPAシナリオ設計入門
これは僕の書いた本です。
「RPA開発や運用には、設計が必要」と言っている、唯一の本。RPAはなんとなく「設計が必要なく、アジャイル開発すれば、動く」みたいな雰囲気で進められてきましたが、その雰囲気に反発する一冊です。
僕はこの設計手法、そして設計書の運用を長年続けています。その実績から考えて、明らかに「有効」です。
- RPA開発で失敗する確率が激減
- チームでの運用が可能になる=属人化しない
- チームのレベルが高くなり、安定する
こういった、ベネフィットがあります。
下記のフォーマット類もダウンロードできるので、すぐに実践することができます。
- 設計書のフォーマット
- 実践編の設計書のサンプル
- UiPathのワークフローのサンプル
「RPA導入に失敗したくない」もしくは、「RPA導入に失敗した」「運用が困難」というRPA担当者には、是非ご一読いただきたい、おすすめ本です。
もっと詳しく、どんな本か知りたい方は次の記事をお読みください。
>> 実務者のための失敗しないRPAシナリオ設計入門ってどんな本?
アマゾンで購入>> 実務者のための失敗しないRPAシナリオ設計入門