【会計・経理業務】月次決算報告書テンプレートに基づいた作成補助【Power Automate for desktop 事例】

会社の経営状況を確認し、必要な意思決定をサポートするために、月次決算報告書は非常に重要な役割を果たします。しかし、毎月の大量のデータを手動でまとめる作業は、特にExcelを使用した場合、時間がかかるだけでなくミスの原因にもなります。

この記事では、この「月次決算報告書作成」業務を効率化するための「テンプレートに基づいた作成作業を効率化するための補助」をMicrosoftの「Power Automate for desktop」を使って実現する方法をわかりやすくご紹介します。

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こさい
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月次決算報告書テンプレートに基づいた作成補助

業務の概要

月次決算報告書を作成する際には、以下のようなステップを踏むことが一般的です。

  1. データの収集
    • 会計ソフトから売上、経費、利益などのデータをエクスポートします。例えば、月間の収支レポートを生成してCSV形式で保存します。
    • 銀行口座や貯金、ローンに関する金融情報をインターネットバンキングや専用ソフトから取得します。この際、取引明細を日付ごとに整理することが求められます。
    • 顧客データや販売データをECプラットフォームやPOSシステムからダウンロードします。データには商品名、販売数量、金額、販売日などの詳細情報が含まれます。
  2. テンプレートに基づく資料作成
    • Excelテンプレートに収集したデータを正確に入力します。例えば、売上データを各カテゴリに分類し、各シートに入力することで全体像を見える化します。
    • 必要に応じてデータを加工します。たとえば、売上金額を商品別、店舗別に集計し、計算式を用いて利益率を算出します。
  3. 報告書のフォーマット作成
    • 指定された形式に基づいてレイアウトを整えます。例えば、収支の要約を表形式で作成し、売上の推移をグラフ化します。
    • 作成したフォーマットを上司や経営陣に回覧する前に確認し、数値の正確性や視覚的な分かりやすさを確保します。

これらのステップを効率的に行うために、Power Automate for desktopを活用すれば、さらなる作業効率化が可能です。

具体例として、販売データを活用した月次決算報告書を考えてみましょう。

具体例: 販売データを基にした月次決算報告書

  1. 販売データの収集
    • ECサイトの管理画面からCSV形式で月間の販売データをダウンロードします。
    • ダウンロードされたデータには、商品ID、販売個数、販売金額、購入日などが含まれています。
  2. データの加工と集計
    • ダウンロードしたCSVデータをExcelに取り込み、各商品の売上総額や販売数を計算します。
    • 商品カテゴリごとに売上を分類し、月次のトレンドを分析します。
  3. 報告書の作成
    • 集計データをもとに、グラフや表を作成して報告書に追加します。
    • たとえば、カテゴリ別売上構成比率の円グラフや月間売上推移の折れ線グラフを作成します。
  4. 配信と保存
    • 完成した報告書をPDFに変換し、経営陣にメールで送信します。
    • 必要に応じてクラウドストレージに保存します。

これらの一連の作業は、Power Automate for desktopで大部分を自動化できます。

業務の課題

月次決算報告書作成には以下のような課題が伴います。

  1. 時間のかかるデータ収集
    • データが分散しており、効率的に収集するのが難しい。
  2. 手動処理によるミス
    • データ入力や加工時のコピーミスや計算ミスが発生しやすい。
  3. レポート品質の安定化が困難
    • 毎月のフォーマット変更や構成調整が手間になり、小さなミスが大きな影響を与えることもあります。

Power Automate for desktopによる解決

Power Automate for desktopを使用すると、これらの課題を効果的に解決できます。以下にそのプロセスを具体的な例を交えて詳しく説明します。

1. データ収集の自動化

Power Automate for desktopでは、ウェブサイトや会計ソフトへのログイン作業をロボットに代行させることが可能です。例えば、会計ソフトから売上データを取得する際、以下のような手順が自動化されます。

  • 特定の会計ソフトにログインし、必要な月次データを検索。
  • レポート形式でデータをダウンロード(CSVやExcelファイル形式)。
  • ダウンロードしたデータを指定フォルダに保存し、Excelへインポート。

これにより、手動でのログインやファイル管理の時間を削減できます。

参考基幹システムへのログイン操作

2. Excelテンプレートの自動化

あらかじめ用意されたExcelテンプレートにデータを貼り付けるだけでなく、以下のような処理を自動化できます:

  • 売上データを商品のカテゴリごとに自動集計し、利益率を計算。
  • 月次のトレンドを反映するために、各カテゴリの売上推移をグラフ化。
  • 特定条件(例えば売上が一定金額を超えた商品)のデータを自動抽出。

これらの機能を組み込むことで、報告書の作成作業を大幅に効率化します。

参考2つのExcelファイル(明細データとマスタデータ)を結合する方法

参考Excelデータをフロー内で集計する

3. 報告書の書式設定と配信

Power Automate for desktopを活用すると、報告書の作成から配信までを一貫して自動化できます。

  • テンプレートに基づき、整ったレイアウトで報告書を作成。
  • 作成した報告書をPDF形式に変換し、特定の経営陣やチームにメールで送信。
  • 報告書をクラウドストレージ(例:OneDriveやSharePoint)に保存し、関係者がいつでもアクセス可能に。

例えば、売上データを基にした月次レポートを作成し、そのまま全社向けの定例メールに添付して送信するシナリオを完全自動化できます。

これらのプロセスにより、作業時間の短縮だけでなく、ヒューマンエラーの削減や業務効率の向上を実現します。

参考送信先リストによるメール送信

自動化のメリット

Power Automate for desktopを使用することで、以下のような3つの主要な利点が得られます。

  1. 作業時間の短縮と効率化 データ収集から報告書作成までの一連のプロセスを自動化することで、大幅に作業時間を削減できます。例えば、Excelテンプレートへのデータ入力やデータの集計作業を自動で行うことにより、手動で行っていた時間のかかる作業を効率化できます。また、従来は数時間を要していた業務が数分で完了するケースも珍しくありません。
  2. ミスの削減と一貫性の向上 手動入力に伴うコピーミスや計算ミスを防ぐことができます。自動化されたプロセスでは、人間による介入が最小限に抑えられるため、常に正確で一貫性のあるデータ処理が可能です。たとえば、売上データを自動的に集計するシステムを構築することで、データの信頼性を大幅に向上させることができます。
  3. 業務負担の軽減と透明性の向上 煩雑な作業が減少するため、担当者の心理的な負担が軽減され、より重要な分析や戦略的な業務に集中できるようになります。また、データ収集や加工の過程が記録されるため、業務プロセスが明確になり、チーム全体で進捗状況を把握しやすくなります。これにより、業務の透明性が向上し、効率的なチーム運営が可能となります。

まとめ

月次決算報告書の作成は、企業の経営状況を把握するために欠かせない重要な業務です。Power Automate for desktopを活用すれば、作業時間の短縮、ミスの削減、作業負荷の軽減が可能となり、効率的で安定した業務運営が実現します。

具体例として販売データの活用を示しましたが、他の業務にも応用可能です。このツールを活用して、業務自動化への第一歩を踏み出しましょう。そして、これまで手動で行っていた作業を解放し、より戦略的な業務に取り組む時間を確保しましょう。

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