データの視覚化【PAD×Excelベストプラクティス】

Power Automate for desktop(PAD)を活用してExcel業務を自動化する際、データの視覚化が適切に行われているかどうかが、業務の効率性に大きく影響します。視覚的に整理されたデータは、情報の把握や分析が容易になり、PADによる自動処理の精度も向上します。本記事では、PADと相性の良いデータの視覚化手法について解説し、実務での適用方法を紹介します。

1. 自動化しやすいデータの視覚化

1-1. 条件付き書式を活用する

Excelの条件付き書式を使用することで、特定の数値やデータを自動的に強調できます。例えば、売上が一定額を超えた場合にセルの色を変更するなど、視覚的に情報をわかりやすく整理できます。PADでデータを取得する際にも、数値範囲を強調しておくことで、誤ったデータ取得を防ぐことができます。

1-2. グラフを活用する

Excelのグラフ機能を利用することで、数値データの変動や傾向を一目で把握できます。棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなどの適切なグラフを選び、データの可視化を強化すると、報告書や分析資料の作成がスムーズになります。PADを活用して自動でグラフを更新する設定を組み込めば、最新データに基づくグラフを常に生成することが可能です。

1-3. ピボットテーブルを活用する

大量のデータを集約し、動的に分析できるピボットテーブルは、視覚化の手法として非常に有効です。PADでピボットテーブルを更新する処理を組み込むことで、最新のデータをもとにしたレポートをリアルタイムで作成できます。ピボットテーブルを使用する際は、データのレイアウトを整理し、余計なフィルタや不要な行列を省略すると、より明瞭な分析が可能になります。

1-4. テーブル機能を活用する

Excelの「テーブル」機能を利用すると、データ範囲が明確になり、視認性が向上します。テーブル機能を使うことで、データの追加や変更がリアルタイムで反映されるため、PADでの処理が安定し、視覚的な整理が容易になります。

1-5. フォントとセルのサイズを統一する

データの視覚化において、フォントやセルサイズが統一されていないと、情報の可読性が低下します。Excelの「セルの書式設定」を利用し、フォントサイズや配置を統一することで、見やすいレポートを作成できます。PADでのデータ処理にも影響を与えにくくなるため、フォーマットの統一は重要なポイントです。

1-6. データの並び順を整える

データの視認性を高めるために、昇順や降順に並び替えを行うと、必要な情報を素早く見つけることができます。PADで自動でソートする処理を組み込むことで、データの一貫性を保ち、視覚的にも整理されたレポートを作成できます。

2. 自動化しにくいデータの視覚化

2-1. 手作業で色付けされたセル

手作業でセルの色を変更すると、一貫性がなくなり、PADがデータを取得する際に誤認識をする可能性があります。条件付き書式を活用し、自動的に色を適用することで、視認性を向上させながら自動化にも対応できます。

2-2. セルの結合を多用した表

セルを結合すると、PADでデータ範囲を取得する際にエラーが発生しやすくなります。視覚的な整理のためにセルを結合するのではなく、列幅の調整や中央揃えの書式設定を活用することで、視認性を維持しつつPADとの連携もスムーズに行えます。

2-3. グラフのデータ範囲が固定されていない

グラフのデータ範囲が手動で指定されていると、新しいデータが追加された際にPADの処理が正しく動作しなくなることがあります。Excelの「テーブル」機能を活用してデータ範囲を自動更新するか、動的な名前付き範囲を設定することで、常に最新のデータを反映するグラフを作成できます。

2-4. フォントサイズや種類が統一されていない

異なるフォントやサイズが混在していると、レポートの可読性が低下し、視覚的な整理が難しくなります。フォントの統一は、データの視認性向上だけでなく、PADでの処理安定性にも影響を与えるため、一貫したフォーマットを維持することが重要です。

2-5. 目視でデータの並び替えを行う

手作業でデータの並び替えを行うと、レポートの作成プロセスが非効率になり、PADによる自動化が困難になります。Excelの「並び替え」機能を活用し、データの並び順を自動で整えることで、視認性が向上し、データ取得の正確性も向上します。

2-6. 視覚的な整理を目的とした空白行の挿入

データの可読性を向上させるために空白行を挿入すると、PADでのデータ取得が正しく行えなくなることがあります。Excelの罫線機能やセルの背景色を活用することで、空白行を使用せずに視覚的な整理を行うことができます。

3. まとめ

Power Automate for desktop(PAD)を活用したExcel業務の自動化では、データの視覚化を適切に管理することが重要です。条件付き書式やピボットテーブル、テーブル機能を活用することで、視覚的に整理されたデータを作成し、PADの処理精度を向上させることができます。手作業での装飾やセルの結合を避け、統一されたフォーマットを維持することで、スムーズな自動化を実現できる環境を整えましょう。