生成AIを導入すると1時間かかっていた仕事が数秒で自動化できる?

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「生成AIを導入すると1時間かかっていた仕事が数秒で自動化できます」みたいな話を目にしますが、「?」となります。

たとえば、「商品説明をするためのコピーライトを100案出す」というのをChatGPTにやらせたら1分で出します、というのはわかります。でもこのコピーが使えるかどうか別ですから、本当に1分になったわけではありませんね。

どうも「生成AIを導入すると1時間かかっていた仕事が数秒で自動化できます」という話は、「3時間かかっていた入力作業が数秒でできます」みたいな文脈で書いてあったので、それはさすがにないでしょう、と思います。

RPAが行うような業務の自動化は完全にロジックの話なので、「生成AIを導入したら自動化できる」という話とは繋がりません。「業務システムを自動操作する」ということは、業務システム側の機能からの制限を受けます。たとえばログイン処理やメニュー操作が必要ですし、画面から入力するなら「登録ボタン」を押して数秒待つという時間もあります。

もし業務システムを介さずに直接データベースに書き込むとしても、データベースの処理能力にも制限を受けますよね。それに、これはデータベースへのバルクインサートの話であり、生成AIの話じゃないですしね……。

そこは「生成AIの能力がすごいから」ということは、まったく関係のない世界です。物理的な話と概念的な話をごっちゃにしてはダメですね。

では、生成AIは自動化に役立たないか?といったら、それも違いますね。僕の感じ方では、生成AIは「自動化の種類」が違います。ぞんぶんに自動化できるのですが、RPAのようなロジックの自動化とは毛色が違う感じです。

たとえば、請求書から請求先企業名を取得するとします。RPAの場合だとテキストから正規表現を使って取得することになるので、違うフォーマットの請求書が来ると基本的に対応できません。生成AIに投げて「請求先企業名を教えて」というと高い確率で取得してくれます。もちろん間違える可能性もありますので、本格的に使うなら機械学習させる必要があるでしょうけど、だいたいでいいなら、今のGPTでもできます。

他にもGPTと会話を行い、「じゃあ、この内容を自分にメールして」というと、メールの本文、件名などを勝手に考えてくれたりします。その本文を使ってRPAで送信すれば自動化ができます。今までなら、件名も本文も細かく指定しないといけなかった手間が無くなり、かつ柔軟になります。

「本文の内容は〇〇風にして」なんていうことだってできます。これをプログラミングしようとしたら不可能ですよね?

このように本来プログラミングしないといけなかったところやプログラミングできないところを生成AIに任せることができるようになると、ガチガチのロジックではなく、より柔軟で広がりのある自動化ができるようになると思います。

生成AIが全部自動化してくれるというより、判断・思考部分は人間がやるしかなかったので、自動化をあきらめるか、対話型のフローを組み込まないといけなかったところが、生成AIにより自動化できる可能性がある、ということじゃないかなと思っています。

自動化の歴史として考えると

  1. データの領域は自動化できていた(DB、バッチ、ETLなどによるバックエンド自動化)
  2. RPAにより画面周りも自動化できるようになった (フロントエンド自動化)
  3. 生成AIにより人の判断、思考も代替できるようになった

という広がりなんじゃないかな、と。今のところは…ですが。今後、発想が進むかもしれませんので、その時は追記していこうと思います。では。

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