こんにちは。完全自動化研究所の小佐井です。
本記事ではDAFを構築するための要件定義について解説します。
第2回目ね。1回目は全体把握の方法だったわ。
業務の完全自動化を支えるDAF理論について次の記事で解説しています。
DAFの要件定義の第1回目については次の記事をお読みください。
第1回目では業務の全体を把握する方法について解説しました。本記事はその続きになります。
それでは、どうぞ!
現状把握(個別案件)
個別案件の現状把握のために必要な手順を解説します。
押さえるべき項目をドキュメントにまとめる
具体的に個別案件に入る際に押さえておくべき項目は以下のものです。
(1) 部署名
(2) 業務名
(3) 業務の目的
(4) 実行タイミング(日次、月次など)
(5) 現在の作業工数
(6) インプット(システムからのダウロード、データベースなど)
(7) 加工内容
(8) アウトプット(帳票、ファイル、システム入力など)
(9) 例外パターン
現行資料を集める
インプット、アウトプットの現行資料を実務者から提出してもらいます。
数ヶ月分をサンプルとしてもらうとよいでしょう。
主に、CSVファイルやExcelファイル形式になります。
業務フローの図式化
正確に現状を把握するために、実務者にヒアリングし、業務フロー図を作成します。できる限り、実務者側に業務フロー図や業務手順書を作成してもらいます。
レアケースですが、業務手順書を持っている場合もあります。
業務システムやExcelを使った業務であれば、画面のハードコピーを手順どおりにとってもらいます。
この段階では改善案など入れずに、現状のままを把握することに注力しましょう。
業務フローは、一般的なフローチャートで書いてもよいのですが、ビジネスプロセスを記述しやすいBPMNというモデル記述言語をお勧めします。
BPMNは、Business Process Modeling Notation(ビジネスプロセス・モデリング表記法)の略で、業務手順をわかりやすく図示して可視化するための表記ルールを定めたものです。
発注書を作成し、部長が承認をして、業者Aに発注書送付するまでの簡単な流れを示すと図1 のようになります。
【図1】BPMNの例
個別案件の要件定義
現状把握が終わったら、完全自動化の要件をまとめましょう。
個別案件の現状を把握した上で、完全自動化の要件をまとめます。
開発時や運用開始後に変更になる場合もたびたびありますが、際限なく変更を受け入れていてはゴールにたどり着けませんので、この段階で要件を文書でまとめておき、関係者の間で合意を形成しておくことが重要です。
成果物の定義
アウトプットを定義します。帳票の自動作成案件であれば、帳票イメージを定義します。これが完全自動化のゴールとなります。
粒度分析
成果物を作成するために、必要なデータの粒度を洗い出します。粒度とは数値データの集計単位のことです。
時間軸なら日単位(粒度が細かい)、年単位(粒度が粗い)などがあります。
アウトプット作成のために必要な一番細かい粒度のデータを取得できなければいけません。
データソース分析
粒度分析したデータの要件を満たすデータソースを特定します。
現状の実務者の使っているデータソースが正解とは限りませんので、「現状分析」で把握したシステム概要をもとにデータソースを探り当てましょう。
粒度とデータソースを図2 のようにまとめて漏れのないようにします。
【図2】粒度とデータソース分析表の例
完全自動化後の業務フローの図式化
完全自動化した業務だけを見ると、マスタの修正や成果物の印刷などを除いて実務者の業務はほとんどなくなります。
完全自動化後の業務フローを描いておき、関係者の認識を合わせます。
また、ここで作成した自動化フローがこの後のインフラ設計、自動化の設計・開発につながってきます。
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要件定義の第1回はこちらです。
DAF理論の全体については次の記事で解説しています。