【物流・在庫管理業務】返品・クレーム処理の記録補助を自動化【Power Automate for desktop 事例】

物流や在庫管理業務では、返品やクレームの処理が重要な役割を果たします。この業務は迅速で正確な対応が求められますが、多くの場合、手作業で記録するため、ミスが発生したり、時間がかかることがあります。本記事では Power Automate for desktop を活用して、返品やクレーム処理の記録補助を自動化する方法を解説します。

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こさい
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(株)完全自動化研究所代表のこさいです。

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業務の概要

返品やクレーム処理業務では、以下のような作業が含まれます。

  • 顧客からの返品依頼やクレーム内容の受信(主にメールやフォーム)。
  • 商品情報や返品・クレーム内容を記録(Excelや在庫管理システムへの入力)。
  • 必要に応じて返品理由の分析や担当部門へのエスカレーション。
  • 返品された現物の確認および適切な処理
    • 現物を確認し、納品ミスなどで問題がない場合は在庫に戻す処理を実施。
    • 商品に問題がある場合は廃棄や修理など適切な処理を選択。
    • 現物処理に伴う記録作業や部門間の調整。

これらのプロセスは通常、手作業で行われることが多いため、作業負担が大きくなりがちです。

業務の課題

手動での返品・クレーム処理記録には、次のような課題があります。

ヒューマンエラーのリスク

返品やクレームの記録作業を手作業で行うと、入力ミスや記録漏れが発生しやすい状況に陥ります。特に、大量の返品依頼が同時に処理される際には、担当者がデータを誤って入力する可能性が高まります。これにより、正確な在庫管理が困難になり、業務全体に悪影響を及ぼします。

時間の浪費

返品やクレームの処理に多くの時間を費やすと、他の重要な業務に充てる時間が減少します。例えば、メールから情報を抽出し、それをExcelや在庫管理システムに入力する作業には多くの工数がかかります。これが、効率的な業務運営を妨げる大きな要因となります。

業務のばらつきと複雑さ

手動での処理では、担当者ごとに記録方法が異なる場合があり、データの一貫性が保たれないことがあります。また、返品された現物を確認し、状況に応じて在庫への戻し、廃棄、修理などの適切な対応を判断するプロセスは非常に煩雑です。こうした複雑な業務は、標準化されていない場合、さらなる混乱や遅延を招く可能性があります。

これらの課題を解決するためには、自動化技術を導入することが効果的です。

Power Automate for desktop による解決

Power Automate for desktop を活用することで、以下の手順で業務を自動化できます。

メールの自動取得

Power Automate for desktop を使えば、顧客から送られてくる返品やクレームに関するメールを指定されたフォルダーから自動的に取得することが可能です。たとえば、専用のメールアドレスや件名に特定のキーワードが含まれるメールをフィルタリングして特定のフォルダーに振り分け、そのフォルダーを監視することで、自動化プロセスを開始します。この手法により、手動でメールを確認する手間が省け、重要な情報を迅速に処理できます。

情報の抽出と整理

メール本文や添付ファイルに記載された情報から、商品名、返品理由、顧客情報といった必要なデータを自動的に抽出します。このプロセスでは、事前に定義したルールやキーワードを活用して、対象となる情報を正確に特定します。たとえば、返品理由がメールの特定の段落に記載されている場合、その部分を自然言語処理技術を用いて抽出することができます。生成AIを活用することも選択肢の一つです。また、添付ファイルの場合、PDFやExcelファイル内のデータを読み取ることで、手作業を大幅に削減することが可能です。これにより、膨大なメールを短時間で処理し、正確な情報を迅速に記録へ活用できます。

Excelやシステムへの記録

抽出した情報は、事前に定義された既存のフォーマットに従ってExcelや在庫管理システムに自動的に入力されます。このプロセスでは、各情報が適切な項目に正確にマッピングされるように、テンプレートやマクロが活用されます。たとえば、商品名や返品理由などのデータが対応する列やフィールドに配置されるように設定します。さらに、複雑な在庫管理システムでは、API連携やデータベースの直接更新が行われることもあります。この一連の流れにより、データ入力にかかる時間を大幅に削減し、記録ミスのリスクも最小限に抑えることが可能です。

現物確認の手順支援

返品された現物を確認する際には、システムが自動的に関連するチェックリストや判断フローを表示します。たとえば、商品の状態や返品理由を基に「在庫に戻すべきか」「廃棄すべきか」「修理を依頼すべきか」といった判断を支援します。チェックリストには、商品の外観、機能確認の手順、返品理由の一致確認などが含まれます。処理結果が決定された後は、その情報を記録し、関連する部門(例:倉庫管理チームや修理担当部署)に即座に通知が送られます。このプロセスにより、現物の処理が迅速かつ正確に行われ、後続の業務もスムーズに進行します。

担当部門への通知

返品理由が特定の条件に該当する場合、事前に設定したルールに基づいて担当部門にメールで通知されます。このルールは、例えば「商品破損に関する返品」や「配送ミスが理由の返品」などの条件を基に構築されます。メールには、返品理由や商品情報、顧客の連絡先情報など、必要なデータが含まれており、担当者が迅速に次のアクションを取れるようになっています。また、通知のタイミングや内容は柔軟にカスタマイズできるため、業務フローに最適化された情報共有が可能です。

自動化のメリット

Power Automate for desktop を活用した自動化には、次のようなメリットがあります。

作業時間の短縮

記録作業が自動化されることで、他の重要な業務に集中する時間を増やすことができます。例えば、手動で行っていたメールの確認や情報の入力を自動化することで、担当者は分析や顧客対応といった付加価値の高い業務に専念できるようになります。

正確性の向上

手作業に伴うヒューマンエラーを大幅に削減できます。システムが情報を正確に抽出し、定められたルールに基づいて処理を行うため、記録ミスや漏れがほぼ発生しなくなります。また、データの品質が向上することで、後続業務や意思決定の精度も高まります。

現物処理の効率化

返品された商品の確認や対応手順が標準化されるため、処理がスムーズに進みます。具体的には、チェックリストの提示や判断フローの自動表示によって、担当者が迷うことなく対応できます。さらに、処理結果が即座に記録され、関連部門への通知も迅速に行われるため、全体の業務フローが効率的になります。

まとめ

返品・クレーム処理業務は、企業の信頼性や顧客満足度に直結する重要なプロセスです。Power Automate for desktop を活用することで、記録作業を効率化し、業務品質を向上させることが可能です。また、現物の確認や処理においても、標準化された自動化手順が支援となり、全体の業務効率が向上します。本記事を参考に、自動化の導入を検討してみてください。

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