RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の実装を成功させるには、最初に何を自動化するかが非常に重要です。この初めの一歩がうまくいけば、社内でのRPA活用がスムーズに進むだけでなく、実装に対する効果や価値を実感しやすくなります。今回は、RPA推進担当者の視点で「最初に自動化すべき業務」について深探りしていきます。
一般的なRPA実装の始め方
多くのケースで「身近な業務から自動化を始める」ことが推奨されます。例えば、単純なデータ入力やファイル整理など、誰でもすぐに理解できる業務を自動化し、その効果を確認するという方法です。
このアプローチは、RPAを初めて触る非ITエンジニアにとっては非常に有効です。しかし、IT部門やRPA推進担当者にとっては、これでは不十分な場合があります。実装コストやリソース投入に見合う効果を示すことが難しく、関係者の期待を超える成果を出せない可能性があるからです。
RPA推進担当者が最初に注目すべき業務
結論から言えば、「経営者や部門長が抱える課題」に直結する業務を自動化するべきです。この選択が成功する理由を以下に説明します。
1. 経営者の課題が企業全体の課題を反映している
経営者が日々目の届けている課題は、企業全体の課題を象徴しています。例えば、次のような課題が挙げられるでしょう:
- 毎日の数字が見えない
- 月次報告が遅れる
- データに誤りがある
- 期末の見通しが不透明
これらの課題を解決すれば、経営者は不誤かつ速やかな意思決定を行えるようになります。その結果、企業全体の運営が効率化され、より大きな成果を生むことができます。
2. 少ない労力で大きなインパクトを出せる
RPAの強みは、少ないリソースで大きな効果を生むことです。経営者や部門長の課題を直接解決する業務を自動化すれば、インパクトが大きく、周囲からの評価も得やすくなります。
例えば、以下のような業務が該当します:
- 売上や在庫のレポートを自動生成
- 財務データの収集と整形
- 日次や週次で必要な数字のリアルタイム更新
自動化プロジェクトの進め方
経営者や部門長の課題に基づいた業務を自動化する際には、以下のステップが有効です。
1. 現状の課題を洗い出す
経営者や部門長と密にコミュニケーションを取り、業務の現状や課題点を具体的にヒアリングします。特に「どの数字が見えていないのか」「どのプロセスが遅れているのか」を明確にしましょう。
2. ボトルネックを特定する
ヒアリング内容をもとに、業務プロセスのどの部分が効率を妨げているかを特定します。たとえば、「データ入力が手作業で行われているため遅延が発生している」など、具体的な課題を見つけます。
3. Power Automate for desktopで試作
ヒアリング内容とボトルネックを解消する形で、Power Automate for desktopを使った自動化シナリオを作成します。この段階で、効果を具体的にシミュレーションし、実装後の成果をイメージできるようにしておきましょう。
4. 効果の共有と拡張提案
最初の自動化プロジェクトの成果を経営者や部門長に共有し、次のステップを提案します。この際、他の業務への応用可能性も具体的に説明すると良いでしょう。
自動化の本質を理解する
最後に、自動化の目的について再確認しておきましょう。自動化は単なる「手間を省く」ためのものではありません。会社全体のパフォーマンスを最大化するための仕組みづくりであることを意識してください。
最初に選ぶ業務が重要である理由は、そこでの成功が「RPAが本当に有用なツールかどうか」を判断する材料になるからです。初期段階で確かな効果を示すことで、RPAの価値が社内で認識され、より多くの業務への活用が進みます。
まとめ
RPA推進担当者の皆様にとって、最初の選択がその後のプロジェクト成功を左右します。Power Automate for desktopを活用し、組織全体での最適化を目指して一歩を踏み出してください。