なぜ現場からRPA案件は集まらないのか?

RPAツールを社内展開するときに、各部署から「自動化できる業務」を出してもらうという手法を使うことが多いですが、「ほとんど提案がもらえない」のではないでしょうか?僕も顧客企業内で説明会を実施してもらったことがありますが、2件程度しか集まりませんでした。

なぜ業務自動化案件は集まらないのでしょうか?現場からは、必ず「何が自動化できるかわからない」という答えがありますが、これは丁寧にRPAについて説明しても、事例・実例を見せても、やっぱり「わからない」のです。根本的な仕組みから考えてみましょう。

動画にしたのでどうぞ!文章で読みたい方は下にスクロールしてください。

まず会社を創業する時は売りたい商品があり、ビジネスモデルを考えます。その後、ビジネスプロセスができあがってきて、部署が必要となり、部署内に「業務」が発生してきます。業務が固まってきたら業務システムを導入したりして自動化が進みます。

業務を行う人は、業務を行うために雇われますから、その業務を行うのが仕事です。非効率的であろうと、面倒だろうと仕事なので働きます。そこに「自動化できる業務はありますよね」と言われても、思考のベクトルが違うわけです。

自動化は自分の仕事じゃないし、わからない、となっても不思議ではありません。そもそも業務を行うために雇われているのに、その業務を「自動化してなくす」ということに積極的なわけがありません。

ビジネスモデル→ビジネスプロセス→業務という階層で考えたら、ビジネスモデルが変れば業務は大きく変わるわけで、業務の一部を部分自動化することは効果が少ないし、下手したら柔軟なビジネスモデルの変更を阻害する悪手となる可能性もあります。

では、経営層が「自動化できる業務」を考えるべきでしょうか?それなら部分最適化に寄らず、全体最適化の自動化が考えられるでしょう。しかし、経営層はそういう仕事ではありません。もっと何年も先を読んでビジネスの布石を打ったりしないといけませんね。

RPA担当者はどういう視点で考えて手を打っていくべきでしょうか?現場からの吸い上げも経営層もダメなら。僕は1つの考え方として、「データ基盤」に着目するとよいと思います。

ビジネスモデル→ビジネスプロセス→業務ときて、最終的にデータベースに結果が入ります。ビジネスが変わると業務は変化しますが、一番下のデータベースはほとんど変わりません。これは「基幹システム」と言い換えてもいいです。そうすると必ずギャップが生じてきているはずです。

ギャップの種類として、
・業務の変化に基幹システムが対応できていない
・基幹システムがそもそも対応しないからExcel等でやっている
・基幹システムが複数あって同期が必要
などがあるはずです。
それを手作業で行っているなら、そこに着目して自動化すればいいではないでしょうか。
【参照】RPAによる自動化の類型

「なぜ自動化か」と言えば柔軟性があるからです。システム化してしまえば、今後の変化に対応するのが遅くなるし、費用もかかります。最初から変化があることを前提としてRPAで開発すればギャップに安価で早く対応できる可能性が高くなるわけです。

この視点で自動化に取り組めば、現場は業務を無くされるわけではなく楽になります。各部門にヒアリングしてまわらなくても、システムのことをよく理解している情報システム部門を中心に案件をリストアップすることができます。もちろん現場の理解も必要ですが。

もともとのギャップの発生原因を考えると、業務は商品を売って利益を上げる活動のために付属して生まれますが、システムはデータベースと業務がリンクして生まれます。市場を上、データベースを下とすると、上から生まれるか下から生まれるかの差があり、時間とともにギャップが生じます。

特に業務の部分でギャップが生まれやすいので、ギャップのつなぎ部分をRPAをはじめとする自動化で埋める、というコンセプトであれば、誰も損しないのではないでしょうか。もちろん会社によっては各部から次々自動化案件が出る場合もあるでしょうけど、そうじゃないというときはご一考ください。

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