楽しさから始めよう

おはようございます。昨日は柴崎先生(@shibasaki_art)のクレヨン画展を観てきたこともあり、「楽しさ」について考えました。僕も絵を書くことが好きで、大学も「造形工学」で選び、大学院はシルクスクリーンで有名な木村光佑先生のゼミでした。大学院ではまともに勉強もせず、全然違う畑のエンジニアになっていますが…。先生、ごめんなさい。

ですが、絵や作品を作るのは好きで、結局ソフトウェアや本、自分のWebサイトなどの作成で作る楽しさは継続して享受しています。で、「作る楽しさ」と「仕事」とはまったく違うアプローチで、「楽しさ」をベースに始めたら、「僕は」うまくいくことが多い、という話です。

楽しいというのは1つは「楽(らく)」ということだと思います。
プログラムは楽になるから楽しい。

プログラムを組めば、複雑な手順が一瞬でできるようになる。同じ成果が人の100倍の速さで得られるから楽で楽しいわけです。つまり、「ズルをする」ことが楽しい。そこから発展して、人に教えたり、多くのプログラムを動かしたりするようになる。そうすると勉強することも増えてスキルも上がります。

たくさんのプログラムを動かすことになると、止まられたら困るので、止まりにくいプログラムを作るようになります。共通化して再利用しないと開発も改修も時間がかかるので、共通処理にも興味が出てきます。そうやって、ドンドンできるようになるわけです。その大本は「楽しい」から始まっています。

「楽しい」にとって大事なことのもう1つは「人に求められないことをやる」ということです。勝手にやる。人がやらないことをやる。成果を気にしないでやる、ということ。つまり、「楽しい」とは「ズルをする」そして「勝手にやる」ことかな、と。結果として褒められると、さらに楽しくなってきます。

今、皆さんが常識として学んでいる「仕事」は、まず目的を明確にし、目標を決めます。この段階ですでに「楽しい」から外れています。「仕事に楽しさを求めるのは甘えだ!」というおじさんもいるでしょうけど無視します。

仕事の目標を決めたら効果を予測し、効果に見合ったスケジュールと費用を決め、実施します。実施後は進捗報告を行い完成させます。これは、まったく楽しくない。

たとえば、これを絵の制作に取り入れたら、苦痛でしょう。僕は「商業的デザイン」の段階で挫折しましたね。

「商業的デザイン」という定義はないですが、クライアントが求めるデザインを生み出すわけで、A案がいいかB案がいいかを提示したりするでしょう。文字をどこにどこに入れたらいいのか。この青はすこし赤みがかっていた方がいいのか、、でも、僕はどちらがいいのかわからない。どの色がいいのかわからない。センス不足、勉強不足なのですが、興味が湧かないのです。

一晩悩んでも正解がまったくわからない。どちらでもいいし、どちらもダメかもしれない。僕にとっては、これはまったく楽しくない状況なんです。

「絵を描くことが好きなこと」と「絵を仕事にすること」はまったく違うことなのです。仕事にすると苦痛でしかない。もちろん僕にとってです。

だからデザイナーの人は僕と全く違う感性を持つ人で僕から見ると超人です。何日も悩んで、よいデザインを選択できる。そしてそれが僕ほど苦痛じゃないのでしょう。すごいです。

……「楽しい」と「仕事」の間にはリンクがない、という話です。

エンジニアの仕事はどの色がイイかとか無いです。ほぼ明確に正解があります。そのうえ作る楽しさがあります。動かす楽しさもあります。そして、求められます。

だから「楽しさ」と「仕事」を結び付けられる数少ない職業ではないでしょうか。そこで、もっと「楽しさ」をメインにしてもいいんじゃないかと思うわけです。

「楽しさ」をメインにすると「人に求められないこと」をズルしてやるわけですから、コッソリとやることになります。当然最初は予算も付きません。だから、まず無料でできることを始める。画面動かすならPower Automate for desktopとかSikuliXとかあるし、自動化というだけなら、Excel VBAでもイイ。環境作れるならPythonでもいい。

無料で始める方法はいくらでもあります。データベース使いたかったらMySQLだって、SQLiteだって無料です。さまざまなオープンソース・ソフトウェアもあるし、無料のサービスもあります。無料じゃなくても、低価格で触ってみて、ダメならやめればいい。いまはエンジニアにとって天国です。20年前ならデータベースがタダなんてありえなかったから。始めちゃって、人に黙って、できるところまでやってみればいいんです。

無料で始めて結果が出るようになったら、会社の人に見せればいい。経営者も実績が無いものにはお金は出さないんです。「RPA導入すれば業務効率化できます」って言っても本当かどうかわからない。それでどれだけ利益が出るかわからない。「もう無料で動かしてます。こういうことできてます」だったら理解できますね。

僕も7年前、ある企業に完全自動化を導入したとき、最初の1件目は勝手に作って、プレゼンして始めました。勝手にできる状況があったのが幸運でした。すべてオープンソースで作ったのでタダです。動かすサーバーも別の用途に使っていたサーバーを借りました。

その後も一番難しいと思われていた帳票作成を完全に自動化して信頼を得ました。その時から7年間、その帳票は自動化しています。帳票作成は休日も含めて、毎日手動で作成したものですから、工数ベースだけで考えるとかなりの利益貢献をしています。

自動化のベースもいまだに現役バリバリです。完全自動で動いているジョブは100を超えます。一部有料ソフトに替えました。無料を使い倒したからこそ、有料の意義も明確に伝えられます。

この完全自動化の方法は僕の「オープンソースで作る!RPAシステム開発入門」をお読みください。

ちなみに本も最初は勝手に「書こう」と思って書きました。完全自動化の仕組みを作ったとき「この方法を人に教えるのは大変だから、文章にしよう」と思い、Wordで文章を書いて、その会社の人に読ませていました。この方法を自分だけで持っていてもしょうがない、と考えて、ホームページを作って載せてたら、RPAブームが来て、出版社さんにお声がけいただいたんです。

勝手に始める、それが認められると頼まれるようになる。そうすると頼まれてもそれに答えるのは苦痛じゃないんです。だれかに言われて何かを始める、というのは苦痛ですから、ものごとの始めを「やりたい」「楽しい」「人に言われなくても勝手にやる」から始めたほうがいいですよね。

普通は「誰かに言われて始める」どころか、「誰かに命令されて始める」になっていますからね。それでは苦しいのは当然だと思います。

とはいえ、大企業なら勝手に業務の自動化したら怒られるし、ソフトウェアのインストールもできないかもしれません。「どうしたらいいですか?」というお問合せをいただくこともあります。しかし、これは「残念」としかいいようがありません。「ズルをする」「勝手にやる」ということから、やる気が引き出され、革新が生まれると思いますが、それができないのは残念です。日本の企業はよく「元気がない」「革新的じゃない」とか言われますが、「楽しさ」を制限する規律にあるんじゃないでしょうか。

まぁ、その中でも、やる気さえあれば、やりようはいくらでもあります。会社でできないなら、家で色々試すこともできますし、制限の少ない会社に転職してもいいでしょう。これは大企業から中小企業やベンチャー企業に転職することになるでしょうから、大企業の方にとっては現実的な選択じゃないですね。大企業の安定・高給を求めるか、「楽しさ」と仕事の両立を求めるかの差ですから、人生観の話になってきます。

今すでに勝手にやれる状況にある、ゆるい企業の方は幸せです。思いっきり「楽しさ」と「仕事」を結び付けてください。セキュリティをおびやかしたり、なんらかの不正はダメですよ。それと「勝手にやる」は違います、もちろん。「こうやったら、みんな楽になって喜ぶんじゃないか?」と1人でほくそ笑む勝手さを楽しんでください。

そして、無料や安価でできることは勝手に色々試してみてください。いろいろ試して「一人じゃ進まないなぁ」というなら、僕のサイトのPreminum会員になって、色々僕に聞くのもいいですね。月額たった980円ですし。別にPower Automate for desktopのことだけじゃなくても、雑多な質問でも、答えられるものは答えます。ITエンジニア歴が25年くらいあるので、経験していることもある程度多いですから。では。

コメント ログインすると書き込めます