Power Automate for desktopとはマイクロソフト社が提供している無料のデスクトップ型RPAツールです。この記事では、さらに詳しく理解できるようにまとめています。
（株）完全自動化研究所代表のこさいです。
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Power Automate for desktopとは
Power Automateの一機能
Power Automate for desktopとは、マイクロソフトが提供しているRPAツールです。このツールはRPAソリューション「Power Automate」の一機能として位置づけられています。
「Power Automate」はRPAとクラウドを含めたプロセス自動化のプラットフォームで、API統合やカスタムコネクタを通じて、数百種類の外部サービスとの接続が可能であり、プログラミングスキルがないユーザーでも利用できる低コード/ノーコードプラットフォームとしての特徴を持っています。
「Power Automate」について、もう少し理解しましょう。「Power Automate」には、クラウドフローとデスクトップフローという2種類のフローがあります。
クラウドフロー
1つ目の機能は「クラウドフロー」です（図1❶）。オンラインデータやアプリケーション間での自動化を実現するために使用されます。このタイプのフローは、Microsoftのクラウド環境内で実行され、外部のWebサービスやAPIとの統合が可能です。クラウドフローは特に以下のような用途に適しています：
- データ同期：異なるクラウドサービス間でデータを自動的に同期させる。
- 通知の自動化：特定の条件を満たしたときにメールやチャットへの通知を自動送信する。
- イベント駆動型プロセス：カレンダーイベントやデータベースの更新がトリガーとなり、関連するアクションが自動的に実行される。
「Power Automate」といった場合、こちらのクラウドフローだけのことを指すことが多いです。
デスクトップフロー
もう1つの主要機能は「デスクトップフロー」です（図1❷）。ローカルコンピュータ上で実行される自動化フローで、RPAツール「Power Automate for desktop」を利用してデスクトップアプリケーションやファイルシステムの操作を自動化します。
Power Automate for desktopとは
Power Automate for desktopは、Windows環境（Win10/11）でのデスクトップアプリケーションやWebアプリケーションの操作を自動化できるツールです。このツールを使用することで、ユーザーはさまざまなアプリケーション間での繰り返し作業を効率化し、業務プロセスを自動化することが可能になります。フローの主な用途は以下の通りです。
- ローカルアプリケーションの操作：ExcelやWebブラウザなどのアプリケーションでの繰り返し作業を自動化する。
- ファイル管理：ファイルのコピー、移動、削除を自動で行う。
- レガシーシステムとの統合：古いシステムや非API対応のアプリケーションと連携する。
Power Automate for desktopだけを利用する場合、無償で使うことができます。
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クラウドフローとデスクトップフローの関係
クラウドフローとデスクトップフローを連携させることによって、クラウドとローカルの両方のリソースを連携させた自動化を実現でき、さまざまな業務プロセスの効率化を図ることが可能になります。
連携のメリット
クラウドフローとデスクトップフローの連携には、以下のようなメリットがあります：
- データの一貫性とアクセシビリティの向上：クラウドで管理されるデータとローカルで処理されるデータ間のギャップを橋渡しします。
- シームレスなプロセスの実現：ローカルアプリケーションの操作からクラウドデータへのアップロードまで、一連のフローを自動的に実行することができます。
- 柔軟性と拡張性の向上：異なるプラットフォーム間での連携を可能にすることで、より複雑な自動化が実現可能になります。
ただし組織の有償アカウントが必要です。
Power Automate for desktopの歴史
「Power Automate for desktopが『Power Automate』の一機能である」という話だけでは、少しわかりにくいかもしれません。もう少し理解を深めるためには、Power Automate for desktopの誕生背景を振り返ってみましょう！
2016年 – Microsoft Flowの登場
Power Automateはもともと「Microsoft Flow」として2016年に導入されました。このツールは、Microsoft 365のエコシステム内でデータを移動させることを目的とした自動化サービスとして開発され、主にクラウドベースのアプリケーション間でのデータ連携とワークフローの自動化に重点を置いていました。
2019年 – ブランド変更と機能強化
2019年11月、MicrosoftはFlowを「Power Automate」にブランド名を変更し、より広範な自動化プラットフォームへと進化させました。このリブランディングは、MicrosoftのPower Platform戦略の一環として行われ、Power BIやPower Appsとの統合が強化されました。
2019年 – Power Automate for Desktopの前身が登場
2019年11月に、Power Automateとリブランディングされた際に、その一機能としてデスクトップ作業を自動化するために「UI Flows」というRPA機能が登場しました。2020年4月に正式版がリリースされ、誰でも利用可能な状態となりました。当初、この機能はかなり使いにくい画面操作ツールでした。
Power Automate Desktopへと進化
2020年5月にデスクトップ型RPAツール「WinAutomation」を開発していたSoftomotive社をマイクロソフトが買収し、その技術をRPA機能に取り込んで大幅に進化させました。そして、2020年12月、この改良されたバージョンは「Power Automate Desktop」として新たにリリースされました。
2021年3月に「Power Automate Desktop」がWindows10が搭載されたパソコンにおいて、無料で使えるようになり、RPA業界に衝撃を与えました。
Power Automate for desktopに改名
2021年10月にWindows11に標準搭載され、名称が「Power Automate for desktop」に改称されました。
もともとPower Automateが存在し、その一部としてデスクトップ操作機能が追加されたということがわかりますね。
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Power Automate for desktopの特徴
ここからは、Power Automate for desktopの特徴を解説します。Power Automate for desktopだけでも、非常に効果的な自動化ツールであることがわかりますよ！
ユーザー部門でも作成しやすい
シンプルな開発画面
まず、図2をご覧ください。 シンプルですよね？これがPower Automate for Desktopの開発画面です。 「シンプルで使いやすい」ことがPower Automate for Desktopの大きな特徴です。 不必要な複雑さを排除し、必要な機能のみを搭載しています。
簡単な基本操作
次に、基本操作について説明します。自動化に必要なコンポーネントが最初から豊富に用意されています。これらのコンポーネントを「アクション」と呼びます（図3❶）。
複数のアクションを組み合わせることで、簡単に自動化を実現できます（図3❷）。そのため、ユーザー部門の方々でも自ら自動化を行うことが可能です。
アクションの組み合わせ全体を「フロー」と呼びます（図3❸）。フローはシンプルかつ直感的で、プログラミング経験がない方でも理解しやすいです（図3❹）。
プログラミング言語を書かずに開発可能
Power Automate for Desktopは、プログラミング知識がないユーザーでも簡単に使えるよう設計されています。直感的なドラッグアンドドロップ式のインターフェイスとビジュアルデザインを採用しているため、非技術的なユーザーでも自動化フローを簡単に作成し、管理することができます。
このようにアクションの設定だけで、アプリケーション開発や自動化処理を開発できるツールのことを「ローコード（low code）」と呼びます。プログラミング言語を学ぶ必要がないため、プログラミングの経験のないユーザー部門でもフローの作成が可能です。
他のマイクロソフト製品と密に連携できる
Power Automate for desktopは、Microsoft 365のアプリケーション（Outlook、Excel、OneDriveなど）とシームレスに連携できるように設計されています。これにより、例えばExcelでデータを処理し、その結果をOutlookを通じて自動的に共有するといった一連の作業を自動化することが可能です。また、Microsoft TeamsやSharePointとの統合により、コラボレーションと情報共有も自動化の範囲に含めることができます。
Windows10/11が搭載されたパソコンでは無料
2021年3月からWindows10が搭載されたパソコンにおいて、無料で使えるようになったことがPower Automate for desktopが注目された大きな要因です。これにより、多くの企業や個人が初期投資を気にすることなく、自動化ツールを導入し始めることができます。特にWindows 11では、全てのプロフェッショナルユーザー向けに標準で提供されているため、アクセシビリティが一層向上しています。
Windows10ではインストーラーをダウンロードしてきて、インストールを実施する必要があったので、Windows11からPower Automate for desktopがより身近な存在になったといえるでしょう。
まとめ
Power Automate for desktopは、Microsoftが提供するデスクトップ自動化ツールで、繰り返し行われるタスクを自動化することで業務効率を向上させます。直感的なユーザーインターフェースと最初から用意された自動化アクションを使用して、ファイル管理やデータ入力などの作業を簡単に自動化できるのが特徴です。
また、Windows 10およびWindows 11で無料で利用可能であり、Microsoft製品との高い互換性を持ちます。このツールを活用することで、技術的なスキルがないユーザーでも効率的に業務プロセスを自動化し、時間の節約と生産性の向上が期待できます。