

こんにちは。完全自動化研究所の小佐井です。
この記事では「RPAとは何か?」について、わかりやすく解説します。
「RPAという言葉を聞いたことはあるけど、具体的にはよく理解できていない」というRPA超初心者の方に向けて書いています。
1) IT歴20年。開発から業務改善まで幅広く経験してきました
2) 複数の企業において2016年からRPA内製化をサポートしています
3) RPA関連の書籍を4冊出版しています
それでは、どうぞ!
目次
RPAとは概念です
RPAとはロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の頭文字をとったもので、定型的なパソコン作業をソフトウェアによって自動化を図るという概念です。
例えば、「Webシステムから日付を指定して売上データをダウンロードしてきて、ファイル名の後ろに日付を付けて、共有フォルダーに保存する」という業務があるとします。
この例の作業は全部マウスとキーボードを使って行いますよね?
それならば、マウスとキーボードの操作をソフトウェアで制御してしまえば、同じことができるわけです。
つまり、簡単に言うと「コンピューターにできる作業をコンピューターによって自動化しましょう」という考え方です。

RPAが理解できたところで、「RPAツール」についても解説します。
RPAツールとはRPAという概念を実体化したソフトウェアのロボットです。
「RPA」と「RPAツール」はわけて理解してください。これがとても大事です!
「RPA」は概念(考え方)に過ぎないので、これを実体化する方法はいくつも出てきます。
実体化したモノの1つが「RPAツール」であるわけで、「RPAツールを導入したから、それはRPAを会社に導入したんだ!」と考えるのは勘違いです。
「RPAツール」を使って、業務を自動化したとき、初めて「RPAを導入したんだ」と言えます。
RPAツールについては次の記事で詳しく解説しているのでお読みください。
では、RPAについて、続きを解説していきます。
RPAが求められる3つの理由
RPAは2017年頃から急速に注目されはじめ、その後多くの企業に広く浸透し、定着しつつあります。
RPAが求められる理由を3つ挙げました。
人員不足
労働力の中核となる15歳以上65歳未満の生産年齢人口は2000年以降、減少傾向が続いていることが分かっています(図1)。
2013年時点で8000万人を切り、2022年現在では7000万人強と推測されます。
10年後には6000万人台、20年後には5000万人台です。
(図1)日本の生産年齢人口推移の推計
現在、すでに問題となっている人員不足は今後ますます企業を悩ます問題となってくる事が明白であるため、業務の自動化が求められています。
この傾向は今後止まることはないので、RPAの需要は無くなることはないでしょう。

システムの乱立と属人化問題
ホワイトカラーの業務はシステム化が進んでいますが、業務毎に異なるシステムが乱立しており、システムとシステムの間を人が「つなぐ」という新たな業務が発生しているケースがあちこちで見られます。M&Aにより複数の企業のシステムをつなげなくてはいけないケースも増えています(図2)。
(図2)システムの乱立と属人化問題のイメージ
また、「システムとシステム」「システムと業務」の間を従業員の職人技で埋めるケースも多く、属人化問題を引き起こします。
特にシステムや業務に詳しい優秀な社員が仕事を属人化させてしまう傾向があり、属人化問題とともに、「優秀な社員が流動化しない」ことによる組織の硬直化も問題となります。
その結果、上記の「すきまをコンピューターでつなぐことで属人化を防ぐ」ことができるRPAへのニーズが高まってきています。
製造業の成功
日本の製造業では古くから、生産性改善の工夫を続け成果を挙げてきました。完全にロボット化されたFA(Factory Automation)も最先端の技術を持っているといわれています(図3)。
(図3)完全にロボット化された工場のイメージ
そのため、製造業と同様にバックオフィス業務においても生産性改善ができるのでは、と考える経営者も多く出てきました。RPAはFAのバックオフィス版として期待されています。

RPAが向いている業務
RPAは下に挙げる3つの特徴を持った「定型業務」を自動化することが得意です。RPA向きの業務を知ることでRPAの効果を得やすくなります。
手順が決まっていて、これからも続けていくことがわかっている業務はRPAに向いています。逆に、「時と場合によって手順や扱うデータを柔軟に変更しないといけない業務」や「一度しか行わない業務」は向いていません。
途中で人の判断が入らず、最初から最後まで1台のパソコン内で完結する業務は向いています。


RPAのメリット
RPAにより最も効果が得られることは、3つあります。
反復的で退屈な作業を自動化できる
繰り返し行われる作業や単純だけど時間のかかる作業って退屈で、なんなら苦痛ですよね?
このような作業をロボットにさせることで人はこの苦しみから解放されます。
またRPAはミスをすることが非常に少ないので、質の高い作業ができます。そのため、ミスのカバー、手戻りなどに時間をとられず、スムーズな仕事の進行が可能になります。
毎日、残業せずに帰れるとうれしいですよね。
人々が苦しみから解放されて、残業が無くなることがRPA導入の意義です。
時間を生み出す(可処分時間の獲得)
RPAで時間のかかる仕事を効率化すると、自由に使える時間が生み出されます。この時間を「可処分時間」と呼びます。
可処分時間を使って、新たな取り組みを行うことができるようになります。コンピューターにはできないクリエイティブなアイディアを生かした仕事が生まれやすい土壌がRPAにより耕されます。
また、時間を生み出すということは、「そのぶんアクションが早くなる」ということでもあります。
例えば、月曜日に発注書を作成して、火曜日に発注する業務があるとします。RPAにより月曜日の出勤時には自動的に発注書が作成できていたらどうでしょう?
月曜日の午前中には発注できるので、納品も約1日、早くなりますよね。在庫も1日分削減できるかもしれません。
このようにRPAを使いこなすことは、単純に楽になるというだけではなく、自分や企業を成長させることに直結するのです。
属人化を防ぐ
「RPAが求められる3つの理由」で触れましたが、システムの乱立によりシステム同士をつなぐ仕事が増えています。
この「つなぎ仕事」が属人化するケースをよく目にします。
RPAで「つなぎ仕事」を自動化しておくことで、属人化してしまうことを防ぐことができるわけです。
今まで属人化している仕事から担当者を引き離すことで、人材の流動化が図れ、経営にプラスの影響をもたらします。


RPAのデメリット
RPAのメリットが理解できたところで、デメリットも理解しておきましょう。
RPAを活用するためには、マイナス面もしっかり把握しておくことが重要です。
RPAのデメリットは「やみくもに自動化してしまうと統制がとれなくなる」ということです。
ITシステムを導入したり、改修したりした方が効率的なケース(例えば会社全体で使う機能や高速性が求められる機能、高いセキュリティが求められる機能など)もあります。
本来、ITシステムで解決すべき課題をRPAで解決しようとしてしまうと、かえって問題を大きくしてしまう可能性があります。
また、自分だけしか中身のわからないRPAを作成する人が増えると、属人化してしまい、作成者の異動や退職時に引継ぎが不可能になる危険性があります。
統制の取れなくなったRPAは「野良ロボット」と呼ばれ、会社のオペレーションにマイナスの影響を与えかねません。
レベルの低いRPAを大量に生産してしまうことも「統制がとれない状態」の1つということができます。
レベルの低いRPAは「すぐにエラーを起こして止まる」「保守メンテナンスが困難」であり、自動化により削減した工数よりも、運用する工数の方が上回るようになり、本末転倒です。

どうすればいいの?
RPAの特性を知らずに「とりあえずRPAを始める」と、このように様々なトラブルを引き起こしがちです。RPAのことをよく理解しないうちに「やみくもにRPA化する」ことは避けなければなりません。
自分の個別業務を自動化する場合には上記のような問題が発生することはあまりないと思いますが、会社として、本格的にRPAを導入しようとするならば、IT部門やRPAに精通した技術者と協力してRPA化を進められるといいですね。
まとめ
RPAによって得られるメリット(時短、可処分時間獲得)は大きく、しかもそのメリットを簡単に得られるようになることがRPAの魅力の1つです。
一方、簡単であるからこその問題もあることを解説しました。
「RPAのデメリット」で解説したような問題を引き起こさないためには、RPAの知識を持つと同時に、しっかりとした基礎知識(プログラミングの基礎知識、自動化の基礎知識)を身に付けることが大事です。
RPAの自動化能力に、使う側の人間の力もプラスすることで、RPAの真の力が発揮されるのですね。


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